ひとり考:私の花 孤独は感じなかった

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妙子さんの庭の花々。テッセン(撮影は9月下旬)
妙子さんの庭の花々。テッセン(撮影は9月下旬)

 ここは愉快な庭だ。ユリの花が、植えた覚えのない場所に咲く。グラジオラスが身に覚えのない所から顔を出す。庭のあるじである妙子さん(47)=県南、仮名=よると、「犯人」は小動物らしい。

 「多分ネズミです。私が植えた球根を掘り出して、別の所に運んだんじゃないかと。とんでもない所に咲いて驚きましたけど、ちょっと楽しいです」。妙子さんが言った。

 築50年以上の家に母と2人で住んでいる。亡き祖父母と父と、かつては5人で暮らした。農家らしい大きな構えで、座敷には先祖代々の写真が飾られている。夏は涼しく、冬は仏壇の花が凍るほど寒い。家族の思い出が積み重なった静かな家だ。

 その家の前に妙子さんの庭はある。好きな花を好きなように植えた自由な庭。ついこの間まで紫色のテッセンが咲いていた。「テッセンは一番好きな花です。りんとして、一輪でも存在感があるから」

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