北斗星(10月24日付)

お気に入りに登録

 「台風は現在、北へ遠ざかっています」。台風19号が首都圏を直撃した12日夜、テレビで聞いたアナウンサーの言葉が耳に残る。東京から見れば「遠ざかる」だろうが、東北にとっては「接近」である。首都圏中心の表現が残念だ

▼台風が沖縄などの島を横切るときは「通過」、本土だと「上陸」と使い分ける。気象庁の用語に触れた沖縄県の地方紙のコラムを読んだことがある。本土上陸の場合に比べると被害は小さいかもしれないが、「通過」という言葉の軽さが割り切れないとつづっていた

▼秋田で暮らしていると、台風の通過であれ上陸であれ沖縄や九州の出来事には鈍感なのかもしれない。日本海を北上し接近して来る台風には「西にそれてほしい」と思ったことがある。隣国に向かえばいいかのような考え方で不謹慎だった

▼県内では台風19号の被害が軽微だったこともあり、「秋田は台風被害が少ない」と話している人がいた。だが、いつ大きな台風の直撃を受けないとも限らない。普段から災害に備えることが大切だ

▼台風19号の大雨の被災地は傷痕がいまだ生々しい。避難所生活を余儀なくされている人も大勢いる。一昨日の被災地は台風20号から変わった低気圧の影響で雨だった。さらに台風21号が接近中である

▼進路予想図では、太平洋を北上するコースで上陸の可能性はなさそう。だが今週末、被災地を含む広範囲に大雨をもたらす恐れがある。21号がもっと東へそれてくれればいいと切に願う。