社説:西武系店舗の閉鎖 後継テナント確保急げ

お気に入りに登録

 セブン&アイ・ホールディングスはリストラの一環として、全国でそごう・西武の5店舗を閉鎖し、2店舗を縮小すると発表した。JR秋田駅前の西武秋田店(秋田市中通)も縮小対象となった。本館は維持するが、隣接する「フォンテAKITA」の地下1階にあるスーパー「『ザ・ガーデン自由が丘』西武」を、2021年2月末までに閉店する。

 秋田駅前で食料品を購入できる数少ない貴重なスーパーだ。閉店の理由には売り上げ不振が挙げられているが、これがなくなることは、利用者にとって大きな痛手である。フォンテを運営する秋田ショッピングセンターは、後継テナントの確保を急いでほしい。

 ザ・ガーデンは10年のイトーヨーカドー秋田店の撤退に伴い、食料品売り場だったスペースに同年、開店した。以来、周辺の住民に加え、バスや鉄道など公共交通機関で駅前を訪れる人たちに利用されている。

 来年11月には、近くに「秋田版CCRC(高齢者向けケア付き共同体)」の拠点施設が完成する見込みだ。医療機関と60戸の分譲マンションなどが併設される。高齢者が生き生きと暮らせる拠点として整備されるのに、徒歩圏内にあるスーパーがなくなるのでは残念だ。

 駅周辺では、ほかにもホテルメトロポリタン秋田の増築計画をはじめ、複数の再開発事業が順次進められている段階だ。国土交通省が示したフォンテ所在地の公示地価(今年1月)は、こうした再開発への期待感の高まりから、27年ぶりに上昇したばかりである。

 ようやく明るい兆しが見え始めた秋田市の中心市街地の活性化への動きに、水を差す事態となる。閉店まで、あと1年4カ月余りあるものの、悠長にしてはいられない。

 買い物がてら、他の店舗に立ち寄り、ショッピングを楽しむ人は決して少なくない。閉店したまま空き店舗となってしまうことは、客足が停滞することにつながりかねず、フォンテ内や、周辺商店街の各店舗にも大きな懸念材料だ。

 秋田市にとっても重大な問題だ。市は少子高齢化の進展に対応したコンパクトなまちづくりを目指し、市内の一定の地域に商業、医療施設などの機能を集めるとの方針を掲げている。秋田版CCRCの拠点が建設される駅周辺はその一つであり、象徴といえるエリアだ。市民生活の利便性を欠くような事態は避けなければならない。

 自動車免許を返納するなど、車を持たなくなった高齢者には、公共交通機関の利用が不可欠である。だからこそ、利用しやすい駅前などへの商業施設の集積が求められている。市はまちづくりの観点から、秋田ショッピングセンターと情報交換を密にし、後継テナントが確保されるようにバックアップしてほしい。