北斗星(10月26日付)

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 県内で戦後最大の水害は1947(昭和22)年に発生した。この年の7月から9月にかけて前線が停滞してその都度豪雨となり、雄物川では3回続けて洪水が起こった

▼雄物川沿いは平地の6割が浸水した。全県で7月だけで死者25人、家屋全壊355戸、床上浸水1万5808戸、田畑冠水4万8600ヘクタールなど甚大な被害に見舞われた。米代川沿いでは、就寝中の母子5人が家ごと濁流にのまれる悲劇も起きている

▼当時の本紙は9月17日付で「水魔またも県内を襲う」と伝える。睦合村(現・横手市十文字町睦合)では水田面積の9割超が冠水。「一面が泥の海と化し、その全部が床上浸水」だとして村全体を「泥漬けの惨状」と報じた

▼県内ではこれ以降、鎧畑、玉川、皆瀬など洪水調節機能のあるダムや、川の流れを真っすぐにする大曲捷水路(しょうすいろ)など、ハード面の整備が進められた。それでも洪水を防ぎ切ることはできず、2017年の記録的大雨では、雄物川などが氾濫して県南を中心に浸水被害が広域に及んだ

▼東日本の各地で猛威を振るった今回の台風19号では千曲川や阿武隈川など大小71もの河川で堤防が決壊した。同時多発的に洪水が発生し、降った雨の量は堤防を設計した際に想定した数値を超えた可能性があると指摘されている

▼県内は直撃を免れたが、油断は禁物だ。多くの犠牲者を出した戦後の水害にも思いを巡らせながら、国も自治体も住民も、最悪の事態を想定して備えを進める必要がある。