時代を語る・矢口高雄(4)納豆1粒でご飯3口

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雪に包まれる生家。昭和45年まで母屋はかやぶきだった
雪に包まれる生家。昭和45年まで母屋はかやぶきだった

 わが家は過去に2度も火事を起こしたそうだ。どちらも火元だった。そのうち1回は集落の半分に火の手が及び、じいさまは「火を粗末に扱うやつは村から出て行け」と所払(ところばら)いを食らうぐらいの経験をした。だから家族にはとにかく厳格だった。

 じいさまは明治生まれ。戸主としてこの家を切り盛りしなければならないという強い意識があって、それが頑固な人格をつくり上げたのだと思う。

 そんなじいさまから、私は「納豆1粒で飯を3口食うもんだ」と教え込まれた。究極の辛抱だね。納豆に塩を入れてなるべくしょっぱくすれば、1粒だって何口もご飯を食べられるというわけ。貧しかったねえ。

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