社説:生活排水処理 広域化でコスト減図れ

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 県が大館市川口に整備を進める県北地区広域汚泥資源化施設の試運転が来月始まる。来年4月の本格稼働後は、県北の6市町の下水道、し尿処理施設で生活排水(汚水)を処理した後に出る汚泥を集め、土壌改良材などに加工する計画だ。

 今後、急速な人口減少に伴い、下水道使用料などの収入が先細りすることが予想される。新施設は汚泥の資源化を広域で行い、コスト削減を進める狙いがある。全国でも先進的な取り組みであり、今後の県内市町村の汚泥処理のモデルケースとなることを期待したい。

 新施設は県米代川流域下水道大館処理センターの敷地内に建設される。鉄骨造り2階建て、延べ床面積987平方メートルで工事費は28億円余。鹿角、大館、能代、小坂、藤里、八峰の各市町の計10施設から出る年間約7800トンの汚泥を高温で炭化処理する。主に汚染土壌から有害な重金属などを除去するための補助材料として販売する。

 現在、10施設は個別に秋田市や大仙市の最終処分場に汚泥を運搬し、焼却するなどした上で埋め立て処理したり、堆肥にしたりしている。それに比べ、新施設は近距離で運送費が安く、全量が資源化される。また、能代市のし尿処理場内にある汚泥焼却炉は廃止され、焼却炉の維持管理費が浮くことになる。こうしたコスト削減効果は20年で約40億円に上るという。

 汚泥の共同処理に関し、県南の自治体の中にも意欲を示しているところがあるという。事業化に向けて、県は積極的に市町村に働き掛けてほしい。

 汚水処理事業のコスト削減法は、汚泥を広域で資源化する以外にもさまざまある。県の流域下水道に市町村の公共下水道を接続するのもその一つ。秋田市はこのやり方で来年度、市中心部の汚水処理先を県の施設に一本化し、市の老朽化した汚水処理施設は廃止する予定だ。

 他にも、下水管などの清掃・点検、事務処理などの業務を複数の自治体で行うことなどが考えられる。県北の6市町を含め、各市町村はコスト削減に有効なことはどんどん取り組むべきではないか。

 県内各市町村は1990年代以降、公共下水道や農業集落排水など汚水処理施設の整備を急ピッチで進めてきた。90年度末の県内の処理施設の普及率は15・5%だったが、2018年度末は87・4%。県は35年度末に95%とする目標を掲げている。

 一方、県内238の汚水処理施設の8割は耐用年数を超える機械設備を抱えている。老朽化施設を今までのように各市町村が自前で更新し、新たな負担を抱えるのは得策ではない。

 汚水処理は現代の生活には欠かせない。今後も住民の生活の質を保っていくための方策を、市町村は真剣に考えなければならない。県には市町村をリードして、広域化によるコスト削減を推進することが求められる。