北斗星(10月30日付)

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 人は、つい型にはまった考えに陥ったり、色眼鏡で見たりしがちだ。そうならないようにするために、まずは本を読むのがいい。自分の知らない世界を知ることができる

▼そんなふうに読書の必要性を説いたのは政治学者の佐々木毅さん(77)だ。昨年春、故郷の美郷町に招かれて講演した。いまやスマートフォンやパソコンで検索すれば、知りたい情報をすぐに得られる便利な時代になった。だが大切なのは物事をどう見て、いかに理解を深めるかだ。本は助けになる。揺るぎない思いを伝えた

▼佐々木さんの話に直接触れられる貴重な機会だとして、講演会場には多くの町民が足を運んだ。同町金沢の元教員高橋勇治さん(63)はその1人。「これからの社会をどのように描き、生きていくべきなのか。あらためて考えさせられた。若者には、特に大きな指針となったのではないか」と振り返る

▼佐々木さんに文化勲章が贈られることが決まった。政治の在り方を問い続け、現在の衆院小選挙区比例代表並立制に道を開く政治改革の旗振り役となった。東大学長を務め、大学改革にも取り組んだ。著書は多数。功績は多方面にわたる

▼急速に進む人口減少と少子高齢化に伴い、財政が難しさを増す中で、政治家はどんな役目を果たすべきなのか。与党、野党を問わず、厳しく注文を付ける

▼常に公平・公正な姿勢だからこそ、一つ一つの言葉が説得力を持つ。道を指し示す羅針盤のように。県民として誇らしい限りである。