社説:県人会の芸能大会 歴史重ねて文化継承を

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 首都圏で生活する県出身者らが自慢ののどと踊りを披露する催しが、半世紀以上にわたって続けられている。親睦と郷土意識の高揚を目的とした首都圏秋田県人会連合会主催の芸能大会である。舞台に立つ歌自慢、踊り自慢は毎回100人以上。これほど長く続く県人会主催の芸能発表会は全国的にも少ない。ふるさと文化の継承につながっており、意義は大きい。

 1954(昭和29)年に発足した秋田県人会連合会が、昭和30年代に県内から民謡歌手を招いて開催したのが始まりだ。民謡、舞踊、歌謡の3部門がある。それぞれ自由出演の部とコンクールの部に分かれ、自己実現の場、技量を競う場となっている。歌自慢、踊り自慢が次々と出演し、およそ7時間にわたり多彩な演目を繰り広げる。58回目を数えた今年の大会は今月中旬に開かれ、出演者は110人に上った。

 白眉は本県伝統の民謡部門だろう。披露される曲は「秋田長持唄」「秋田草刈唄」「生保内節」「秋田馬子唄」「秋田おばこ節」など、さまざま。都会で暮らす県人らが秋田の民謡を歌い上げる姿から、故郷への思いがひしひしと伝わってくる。

 芸能大会は山形県や新潟県の県人会も開いている。ただ、秋田県人会連合会の大会は、その歴史の長さや出演者の多さが目を引くほか、民謡の曲目を秋田民謡に限定しており、故郷へのこだわりぶりが突出していると言える。

 プログラム作成や進行、表彰まで全てが県人会連合会スタッフの手づくりだ。会場確保や出場者募集などの準備を1年がかりで進める。運営費は連合会加盟の各市町村県人会からの支出に加え、県人会メンバーが経営する企業などから寄せられる広告料などで賄っている。

 毎回盛り上がる芸能大会だが、今後も継続、発展させるためには、現在運営の中心となっている60、70代に加え、若い県出身者を巻き込むことも必要だろう。企画段階から若手に参加してもらい、アイデアを募ってはどうか。幅広い世代の意見を取り入れることは、大会を活性化させるはずだ。

 県出身者以外の人にも積極的にPRして会場に足を運んでもらい、秋田の芸能文化の魅力を伝えるのも一案だ。秋田ファンを増やすことに結び付くかもしれない。

 今年の大会が、東京五輪・パラリンピックに合わせた「ビヨンド2020プログラム」として国に認証されるという追い風もあった。「日本文化の魅力を発信する事業活動」との条件を満たしていると認められたことは大きい。

 秋田県人会連合会の菊地昭夫会長(77)=由利本荘市出身=は「民謡を中心に、これからも秋田の文化の素晴らしさを伝えていきたい」と抱負を語る。今後とも大会を重ね、文化の輪をさらに広げるよう期待したい。