北斗星(10月31日付)

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 コンサートによっては歌や演奏を聴くだけでなく、一緒に歌うことが大きな楽しみの場合もある。ステージと観客席の声が重なれば歌は一層迫力を増し、会場は高揚感に包まれる

▼秋田市文化会館で開かれた「あきた歌の輪コンサート」がそうだった。童謡や唱歌、歌謡曲などに続いて最後に演奏されたのが「秋田県民歌」。観客席の約千人が促されて立ち上がり、吹奏楽に合わせ合唱団と共に歌った。「感激した」と語る参加者の晴れやかな表情が印象的だった

▼コンサートは2010年、県民歌の魅力をもっと広く知ってもらおうと音楽関係者らがNPO法人を組織し、スタートさせた。以来ほぼ年1回のペースで開催し、11回目を迎えた

▼出演者は小学生から高齢者まで幅広い年代からなる。理事長で元音楽教諭の川口洋一郎さん(71)は「県民歌は美しい旋律で格調高く秋田を歌い上げる。子どもも一緒に歌う機会をつくって素晴らしさを将来に伝えたい」と語る

▼県民歌を作詞した倉田政嗣(まさつぐ)の出身地、大仙市太田町では市太田支所が、県内外在住の65人による手記集「私の秋田県民歌」をまとめた。その中で地元高校生が書いている。「県民歌には秋田で暮らす人、秋田を離れた人など多くの人の心を一つに結びつける力がある。みんなで歌うことでその力は増し、秋田っていいなと感じさせてくれる」

▼県民歌の制定は1930年10月。来年で90年になる。さらに100年、200年に向け歌い継いでいきたい。