社説:参院選1票の格差 国会は改革議論進めよ

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 7月の参院選での「1票の格差」を巡る訴訟で、全国の各高裁の判断は割れた。10月末までに判決が出された8件のうち、本県選挙区を含む6件が「合憲」、ほか2件が「違憲状態」となった。いずれも選挙無効の請求は棄却した。原告の弁護士グループは上告し、最高裁は来年にも統一判断を下す見込みである。

 各高裁の判断に違いはあるものの、参院選に備えて自民党が提案し、昨年成立した定数6増(埼玉選挙区2増、比例4増)の改正公選法が格差是正に向けて抜本的に見直したものだとは言えないと指摘した点は、ほぼ共通している。国会は各高裁の指摘を重く受け止め、最高裁の統一判断を待つまでもなく、改善に向けた議論を進めなければならない。

 一連の訴訟は、格差が最大3・00倍だった7月の参院選は投票価値の平等に反して違憲であるとして、弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こしたものだ。1票の格差を是正しないまま都道府県単位の区割りで実施した選挙は無効だと主張した。

 公選法改正などの国会の取り組みに対し、合憲とした仙台高裁秋田支部などは「格差是正へ検討を続ける意思を示した」と評価し、選挙区を都道府県単位とした国会の裁量に理解を示した。一方、違憲状態とした高松高裁などは、格差が2倍未満だった2017年衆院選などに比べて許容し難いと指弾し、都道府県を選挙区の単位とする仕組みを見直す必要があるとした。

 参院選の1票の格差は、10年で5・00倍、13年は4・77倍だった。これらが弁護士グループの訴えで、最高裁に「違憲状態」と判断されたため、国会は対応を協議。16年参院選で徳島と高知両県、鳥取と島根両県を、それぞれ1選挙区にする合区を導入し、格差を3・08倍に縮めた経緯がある。

 16年参院選を巡る訴訟で最高裁の判断は「合憲」だったが、それは次の参院選に向け「制度の抜本的見直しについて必ず結論を得る」と改正法の付則に明記した国会の決意を評価したものだった。格差が微減にとどまった今回の参院選を、高松高裁が「弥縫(びほう)策にすぎない」と一蹴したことは重い。国会は襟を正すべきだ。

 地方は人口減少が加速し、地方から大都市圏への人口流出が続く。今後も1票の格差は広がるだろう。その際は、すでに投票率低下などの弊害も指摘される合区が、本県をはじめ他の地域にも及びかねない。

 格差を是正しつつ、人口の少ない地域から選ばれる議員の数を保つのは、極めて難しい課題だ。憲法に「都道府県代表」の規定がないため、特に参院は区割りの合理性を問われ続けてきた面もある。だからこそ、与野党の枠を超え、参院がどうあるべきか、真剣に議論を重ねてもらいたい。

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