社説:ラグビーW杯閉幕 成功を今後につなげよ

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 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会は南アフリカが優勝し、44日間の幕を閉じた。日本代表が悲願の8強入りを果たしたこともあって、かつてないほどラグビー人気が高まり、大会は大成功だった。

 この盛り上がりをいかに今後につなげるかが最大の課題である。ラグビー人気の定着を図りたい。減少する競技人口が増加に転じ、日本のラグビーがさらに強くなることを期待する。

 日本は長年、ラグビー弱小国だった。アジア初となる日本でのW杯開催に対し成功を危ぶむ声もあった。実際には海外から大勢の観客が駆け付けた。チケット販売数は180万枚を超え、ほぼ完売。経済波及効果は4300億円とも言われる。

 英国やオーストラリア、ニュージーランドなどを中心とする国々で発展してきたラグビーが今回の成功により、グローバルスポーツに脱皮する可能性が示されたとも言える。国際統括団体ワールドラグビーのボーモント会長が「これまでのW杯の中で最も素晴らしい大会の一つ」と評価したのはうなずける。

 盛り上がった最大の理由は日本代表の大活躍だ。1次リーグ第2戦では大会前に世界ランキング1位だったアイルランドに逆転勝ち。8強進出を懸けた第4戦でも強豪のスコットランドに逆転勝ちした。劇的な勝利を重ねたことが、日本中を歓喜の渦に巻き込んだ。

 外国人でも代表になれるというラグビーならではのシステムは広く支持された。日本は多様な背景を持つ選手が、個人の活躍より「ワンチーム」を強調して結束。期間中に各地が台風などの被害に見舞われる中、何度倒れても起き上がって前に進む選手の姿に、勇気をもらったとの被災者の声もあった。

 選手たちのスポーツマンシップにあふれた振る舞いも注目された。試合が終わればお互いをたたえ合い、審判、観客にも敬意を表す姿にすがすがしさを感じた人は多いだろう。

 会場での観戦だけでなく、全国各地のパブリックビューイングなども大いに盛り上がった。空前のラグビー人気を支えたのはルールや選手はよく知らなくても、試合会場に足を運ぶなどして熱狂した「にわかファン」の存在だった。今大会で生まれた多くのファンを引き付け続ける方策が必要だ。

 日本代表は4年前のW杯では優勝候補の南アフリカを破る「スポーツ史上最大の番狂わせ」を演じたが、その後、国内最高峰のトップリーグの観客動員数は伸びなかった。プロ化の構想もあるが、各チームの足並みはそろっていない。ラグビー界がスクラムを組み、前に進む必要がある。

 全国的に競技人口、チーム数の減少は顕著だ。本県も例外ではない。ラグビー人気が高まっている今こそ、ラグビー秋田の復活を目指し、競技の普及と底辺拡大に努めたい。