ひとり考:ルーツ 私は秋田のおじさん

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中学時代の卒業文集。李さんは「混血」というタイトルで、自身のルーツをつづった
中学時代の卒業文集。李さんは「混血」というタイトルで、自身のルーツをつづった

 子どもの頃、自己紹介が苦手だった。

 「僕の名前は李(リ)です」。そう言った時、周りの子はどんな顔をするだろう。待つ瞬間が苦痛だった。

 「過剰に反応されるのはつらい。でも、まるで触れてはいけないことのように無視されるのも、つらい。今思えば、たいしたことではないんですけど…」。秋田市の会社員・李亘(わたる)さん(48)が振り返る。

 亡き父はいわゆる「在日1世」だ。韓国から日本に渡り、秋田の日本人女性と結婚。1971年に李さんが生まれた。李さんは「在日2世」と呼ばれる。

 クラスで、いや学校でたった一人の「李」という名前。そこに深く突っ込まれないよう、友達には自らこう打ち明けた。「うち、お父さんが韓国人だから李っていう名前なんだよ」

 「からかわれる前に、こちらから言ってしまう。子どもなりの自己防衛だったかもしれません」。カミングアウトの恐怖は一瞬。後は「あ、そうなの」という返事が来て「人付き合い」が始まる。「傷つくようなことを言われたことはなかった。自分は秋田で生まれ育って、恵まれていたと思う」

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