社説:県立図書館120周年 「知の財産」有効活用を

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 県立図書館(秋田市山王新町)は今月1日で創立120周年を迎えた。約92万冊の本や資料を所蔵する本県学術文化の拠点である。今後とも県民ニーズを見極めて利用者サービスの充実を図り、一層役に立つ存在となるよう努めてほしい。

 1899年に秋田市の千秋公園内に開館した県立図書館は、2度の移転を経て、1993年に現在地に移った。年間入館者数はここ数年、40万人前後を数える。貸し出し冊数は42万冊に上る。知識の豊富な司書が利用者の資料探しを手助けするほか、地域文化や歴史、産業などに関するさまざまな企画展示を打ち出して県民の関心を喚起しているのは心強い。

 ただ、一般の利用者が目にすることができるのは2階閲覧室の約18万冊だ。全体の2割にすぎない。残りの約74万冊は主に1階と4階の書庫に保管されている。中でも4階書庫には、約55万冊に及ぶ郷土資料がある。せっかく収集した資料を埋もれさせてはならず、できるだけ県民の目に触れられるよう工夫する必要がある。

 2012年度から取り組んでいる「県デジタルアーカイブ」事業は、そのための方策の一つだ。資料のデジタルデータ化を進め、インターネットで無料公開している。

 だが、これまでにデジタル化できたのは、ごくわずかだ。資料の来歴を確認するなどの作業に手間がかかり、なかなか公開に至らないのが現状だという。資料は活用されてこそ意義がある。人手が足りないのであれば増員するなどして、公開に向けた作業の迅速化を図るべきだろう。

 「図書館の中の図書館」と称される県立図書館は、市町村図書館への支援という重要な役割も担う。県立図書館には司書の資格を持つ職員が非正規を含めて26人いるが、市町村によっては、司書がまったくいないところもある。このため、県立図書館に市町村職員を集めて研修会を開いたり、司書が市町村図書館に出向いてアドバイスしたりしている。人材育成に向け、さらに力を入れてほしい。

 県立図書館の蔵書を市町村図書館を通じて県民に貸し出す取り組みも大切だ。予算が乏しく、住民が求める本をなかなかそろえられずにいる市町村に歓迎されている。高校や特別支援学校には直接貸し出し、喜ばれている。市町村と連携しながら、小中学校や幼稚園・保育園などにも直接貸し出すことを検討すべきではないか。

 人口減少や少子高齢化が急速に進む中、地域社会をどう維持するのか、住民の健康増進を図るのかなど、本県は課題が山積している。県立図書館には、そんな地域課題をさまざまな角度から考えるための資料をそろえ、解決につなげるためのヒントを提示する役割も期待されている。蓄積した「知の財産」を存分に活用してもらいたい。

県立図書館120周年。学術文化の拠点としての一端を紹介します