北斗星(11月13日付)

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 鈴なりに実をつけた柿の木を秋田市の住宅街で見掛けた。時々通る交通量の多い道路沿いにある。葉が茂っていた時には気付かなかった。近くには栗の木もあり、物置小屋の屋根にたくさんのいがが落ちていた

▼垣根越しに見たところ、庭や家屋の荒れ具合から空き家のようだった。収穫する人のいなくなった柿と栗は、やがて野鳥や小動物などの餌になってしまうのだろうか

▼本県では今年、クマによる人身被害が続き、出没警報が発令中だ。心配なのは人里での被害が目立つこと。本年度の人身被害13件のうち8件が人里で発生。自宅や学校、大型商業施設の近くで襲われた事案もある

▼人里でのクマ出没が目立つのは本県だけではない。新潟県では先月、魚沼市の中心部で計6人が相次いで襲われ、重軽傷を負った。鳥取県では今月、「クマが民家の庭の柿を食べている」との通報で駆け付けた警官2人が襲われてけがをした

▼山ではクマの好物とされるブナの実が大凶作という。そのため、餌を求めて人里に出没しているとみられる。冒頭の空き家は住宅街にあるとはいえ、最近の動向をみれば油断できない。山あいや近くに雑木林がある土地ならば一層不安は増す

▼空き家に限らず、家主が高齢になり柿や栗を収穫できなくなるのも珍しくない。地域や行政が収穫を代行したり、樹木を伐採したりする仕組みが必要となっている。腹を減らした冬眠前のクマを人里に近づけないために、あらゆる対策を講じたい。