社説:投球数の制限 投手の健康守る第一歩

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 日本高野連が設けた「投手の障害予防に関する有識者会議」は、大会中に1人の投手が投げられる投球数について「1週間に500球以内」と制限するなどの答申案をまとめた。

 故障の原因となる投球過多は長年の懸案事項だった。有識者会議は、昨年12月に新潟県高野連が独自の投球数制限導入を表明したのを機に発足。今年4月から議論を重ね、ようやくここまでこぎ着けた。投手の健康を守るルール作りの第一歩として評価したい。

 答申案は▽投球数の制限、3連戦を回避する日程設定など「競技団体としての責務」▽週1日以上の完全休養日の導入、複数投手の育成への留意など「加盟校が主体的に行うべきこと」▽指導者へのライセンス制導入、学童野球や中学野球大会の適切な試合数など「野球界全体で取り組むべき課題の検討」―の三つの柱から成る。

 日本高野連と都道府県高野連が主催する大会が対象で、来春の選抜大会から3年間を試行期間と定める。期間中、罰則は設けず、ガイドラインとして運用する。20日に有識者会議の座長が日本高野連会長に答申案を提出し、29日の理事会に諮って決定となる。

 だが、これで終わりではない。議論の余地はまだある。米大リーグが2014年に発表した「ピッチ・スマート」と題したガイドラインは、医師をはじめ専門家の意見を基に、1日の投球数の上限や適切な登板間隔、年間の休養期間などを定めている。17、18歳だと1日の上限は105球で、81球以上を投げた場合は4日間の休養を求めるなどの内容だ。

 日頃から体を鍛え上げているプロの投手も、1試合に100球程度を投げたら5日間ぐらいは休ませる。成長途上の高校生がそれ以上投げた場合、体にどれだけ大きな負担がかかるのかを、よく考えるべきだ。日本高野連は将来的に、もっと細かい制限を導入する必要があるだろう。

 有識者会議は今回、投球数を「1週間に500球以内」とする一方、1試合での制限には踏み込んでいない。その点は各校の指導者に委ねられた形だが、投手の健康を守るという答申案の趣旨をしっかりと受け止め、障害予防につなげなくてはならない。

 昨夏の甲子園大会では登板した投手が1人だけというチームが17に上ったが、今年は9に減った。初戦敗退のチームも含め、継投で戦うスタイルが目立ってきた。さらに浸透させ、定着させたい。

 日本高野連は来春の選抜大会の休養日を、準々決勝の翌日だけでなく、準決勝の翌日にも導入することにした。これに限らず、変えられる点は協議の上、随時変えていくべきだ。有識者会議の答申案をきっかけに、選手最優先の高校野球となることを望む。