北斗星(11月18日付)

お気に入りに登録

 それだったら、ここにもある。呼び名は違うけれど、ほぼ同じものだ。由利本荘市石沢地区の人たちは、ずっとそんな思いを抱いていたのかもしれない

▼炊き上がったご飯をつぶして、ピンポン球ぐらいの大きさに丸める。八郎湖の周辺を中心に県内に広く伝わる「だまこもち」として知られるが、石沢地区にとって、それは「げんないもち」だ

▼以前この欄で、だまこもちを入れて作る「だまこ鍋」について取り上げた。発祥の地とされる五城目町や八郎潟町でも、食べ方や味付けが家庭によって微妙に違っていて面白いと紹介したところ、由利本荘市の藤原綾子さん(76)から冒頭の事実を知らされた

▼藤原さんは松ケ崎地区の出身。げんないもちは石沢地区出身の義母に教わった。かつて源内さんという人が、近くを通った殿様に差し出したのをきっかけに、その名が付いたとされる。おいしいと喜ばれて評判になり、周辺の家々でも食べるようになった。「げねもち」とも呼ぶ

▼当初は丸めたご飯を煮込んだりせず、そのままおわんに入れ、だし汁をかけて食べた。大きさも野球のボールほどあったらしい。石沢小学校はこれを継承。田植えをし、収穫した米を炊いて毎年味わっている。この秋も皆で作った

▼「割と簡単にできるから、子どもたちも楽しめる」と秋山由美子教頭(58)。わいわい言いながらご飯をつぶしたり、丸めたり。にぎやかな様子が目に浮かぶ。これからも受け継いでいきたい大切な伝統食だ。