時代を語る・矢口高雄(28)漫画が旧友の刺激に

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釣りキチ三平の単行本(横手市増田まんが美術館所蔵)
釣りキチ三平の単行本(横手市増田まんが美術館所蔵)

 「釣りキチ三平」の連載中、中学の同級生が電話をくれたのには驚いた。

 彼は勉強が苦手で、テストの時は隣の席にいる私の答案用紙を丸写しするようなやんちゃな生徒だった。中学を出て就職し、その後は音信不通。それが二十数年ぶりの電話です。しかも東京拘置所前の喫茶店から。暴力沙汰か何かで拘置所に厄介になったのでしょう。

 「房の中で釣りキチ三平を全部読んだよ。おまえ、頑張ってるなー。俺もようやく放免になったから、明日から頑張ってみるわ」。これだけを言いたくて、出版社から電話番号を聞きだしたそうだ。彼は何年かすると年商数億円のビル解体会社の親分になり、外車を乗り回した。漫画が刺激になったのかな。

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