北斗星(11月25日付)

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 古里の力になるのであれば―。三種町に昨年Uターンした渡辺博栄さん(65)は10月から週1回、同町上岩川地区とJR鹿渡駅を結ぶワゴン車送迎「ふれあいバス」のハンドルを握る

▼渡辺さんは能代高を卒業後に日本気象協会に入り、気象キャスターとして活躍した。NHKテレビの土、日曜日の天気予報を長く担当。同局の「おはよう日本」「週刊こどもニュース」にも出演した。優しく、穏やかな語り口で分かりやすい解説が印象に残る

▼仕事が一区切りしたら、古里に帰ろうと前々から考えていた。畑を耕しながら、ゆっくりと暮らすことをイメージしていた。それが予想もしなかった運転手を務めることになった

▼「ふれあいバス」は集落内をくまなく回り、通院やスーパーで買い物をする住民を送迎している。町が公共交通の再編に伴って、10月から町内8地区で運行を始めた。運行は地元の住民団体に委託している。だが高齢化が進む地区では運転手の確保もままならない。そこで白羽の矢が立ったのが渡辺さんである

▼運転手として間もなく2カ月。利用者から「よく戻ってきてくれたな。ありがとう」と声を掛けられることも多い。待っている人、頼りにしている人は予想以上にいると感じている

▼地域では住民の足の確保だけではなく、いろいろな課題に直面している。住民が助け合い課題と向き合う「共助」がこれまで以上に重要になる。Uターンや移住してきた人たちの力も借りて地域を守りたい。