社説:教育視察受け入れ 授業改善に生かしたい

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 県内小中学校の授業を視察するために来県する教育関係者が年々増えている。本県の小中学校は毎年の全国学力テストでトップ級の成績を維持しており、各学校現場で実践されている本県独自の探究型授業を学ぼうとする動きが全国に広がっていることは喜ばしい。

 一方、視察を受け入れる側の教師らにとっても、県外からの視察者がどんな感想や意見を抱いたかを知ることは、自分の授業を見詰め直す貴重な機会となっている。視察者の受け入れを一層積極的に進め、授業改善や児童生徒の学力向上につなげていきたい。

 県教育庁義務教育課によると、視察者は2014年度には全県で3120人だった。それが18年度には1・5倍の4746人まで増加した。

 ここ数年の間に受け入れが急速に増えたのは大館市である。同市教委は市内各校の授業を全国の教育関係者に視察してもらい、外部から見た率直な意見や助言を得ることを目指し、インターネットなどを通じて積極的に視察受け入れをPRしている。18年度には、県外からの視察や修学旅行受け入れなどのため、専門の教育監と地域おこし協力隊員を配置した。

 この結果、同年度の県外からの視察者は、同市で開催された県教育委員会主催の学力向上フォーラム参加者を除いても1170人で、前年度の3・7倍だった。本年度はさらにそれを上回るペースで増えている。

 同市教委は、授業を公開した教師たちが視察者たちと意見交換する機会をできるだけ設けるようにしている。そうした交流の場が教師の自信や意欲につながっている。そこで得たものを生かし、子どもたちの学習意欲を引き出してもらいたい。

 大館市以外に東成瀬村や大仙市も視察者を積極的に受け入れている。これらの自治体の教委に共通するのは、視察受け入れが学校現場のいい刺激になるという認識である。

 県内では少子化に伴い、学校規模の縮小が進んでいる。中学校によっては教科担任が1人だけとなるなど、校内で授業研究を充実させるのが難しくなっている。県外からの視察者の声に耳を傾けることで、より客観的に授業を見直すことができる意義は小さくない。

 視察受け入れについてはそれぞれの地域事情もあるだろうが、他の市町村にもできる限り前向きな姿勢を期待したい。それと同時に現在、市町村ごとに行われている授業研究会に、隣接市町村からも参加しやすくできないか。各校で成果を共有することが重要だ。

 大館をはじめとする3市村は、教委や校長らが視察者側との連絡調整、受け入れ準備に当たり、ふだんのままの授業を見てもらうことを徹底している。現場に負担を掛けない配慮を心掛けながら、視察の受け入れに取り組んでほしい。