北斗星(12月4日付)

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 縄文時代の地層の上で暮らしている。子どもの頃、そう思ったことが何度もある。畑のへりや道端の斜面などそこかしこで縄目模様の付いた土器片を見つけた。手に取る度に「数千年の時を超えて縄文人と触れ合った」と感激したものだ

▼縄文という言葉には、北の民を象徴する響きがある。そう感じるのは、「北海道・北東北の縄文遺跡群」という名称を目にする機会が最近増えただけでなく、生まれ育った仙北市で土器片探しに熱中した少年期の思い出があるからだ

▼遺跡群は大湯環状列石(鹿角市)と伊勢堂岱遺跡(北秋田市)を含む4道県の17遺跡で構成され、2021年の世界文化遺産登録を目指している。来年2月までの推薦に向け、準備は大詰めだ

▼先日は推薦書に記載する名称をどうするかを専門家が議論した。過去の国際会議などで「シンプルであるべき」「地名は『北日本』の方がよい」との指摘を受けたことを踏まえた対応だというが、せっかく耳になじみ始めた名称をなぜ今になって変えようとするのか疑問に思えた

▼特に懸念されるのが「縄文」の取り扱い。縄文を主題に据えた上で意味を補足するための副題を付けたり、「先史」「農耕以前」などの言葉に置き換えたりする案が出た

▼縄文は残るのか消えるのか。名称は年内に決まる。先史時代の文化を伝える遺跡群を守り継いできたのは住民だ。縄文の2文字には愛着がある。これがないと4道県のつながりが実感しにくくなる気がする。

北海道・北東北の縄文遺跡群の現状と展望を探っています