地方点描:自動運転実用化[鷹巣支局]

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 運転手が発進ボタンを押すと車両が前進し、触っていないのにハンドルが右へ左へと動く。上小阿仁村で、道の駅「かみこあに」を拠点に村内を巡る自動運転サービスが始まった。車を持たない高齢者らの助けになるだろうと県内外から関心が集まっている。

 同村の人口は約2300人で、高齢化率は55%超と県内で最も高い。バス路線の廃止などにより公共交通機関が不足し、生活の足の確保が課題となっている。

 国土交通省は、こういった状況の全国18地域で、2017年度から自動運転の実証実験を実施。同村では17年度に1週間、18年度は1カ月余り行い、需要が見込めるとして全国で初めて実用化した。

 18年度の実験結果によると、乗車363人中、村の住民は103人で、うち60代以上が65%を占めた。また村内の実験参加者で、自動運転の公共交通に利用の意向を示した人が6割近くいた。

 ところが有料運行が始まった1日以降、利用者はまばらな状況が続く。定期便運行が週2、3日と限られる福館、堂川集落の住民からは「便数が少ない」「目的地まで遠回り」などの声が聞かれる。平日は毎日定期便が運行する小沢田集落でも利用はいまひとつ。それでも小沢田集落会の田中安規会長(69)は「高齢化はさらに進み、小回りのきく移動手段は必要性が高まるはずだ」と話す。

 実用化されても、実際に活用されなければ意味がない。利用する中で、運行時間やルート設定、既存の移動手段との連携など改善案を出し合えば、使いやすい仕組みに近づいて、乗客が増えるのではないか。