社説:ゆざわビズ始動へ 地元企業の力引き出せ

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 湯沢市は来年1月、市直営の無料経営相談窓口「ビジネス支援センター ゆざわ―Biz(ビズ)」の業務を始める。中小企業や個人商店などを対象に、経営の専門家が売り上げ増などに主眼を置いた実践的なアドバイスをする。

 国の経済統計などによると、湯沢市内の事業所は2006年度の3302カ所が11年度には2713カ所、16年度には2539カ所と、10年間で2割以上減少した。経済活動で生み出された商品やサービスの付加価値を示す総生産額も1割以上減った。このまま地域経済が低迷すれば、若年層の流出が加速しかねない。ゆざわ―Bizには各事業所の魅力を引き出し、疲弊する地域経済を活気づけてもらいたい。

 経営の専門家として市に10月に雇用された「センター長」が、同市大町の商店街の一角に構えた相談窓口に常駐する。売り上げを伸ばすため何をどこに、どう売るべきかを提案したり、既存の施設や技術を活用することで追加投資を極力抑えるよう指導したりして、利益を確保するのを手助けする役目を担う。

 静岡県富士市が08年に開設した「産業支援センター f―Biz」が始めた取り組みで、「ビズモデル」と呼ばれる。全国の自治体に広がりを見せており、湯沢市は山形市に続いて東北で2カ所目、全国では21カ所目に数えられる。

 富士市は各事業所が持つ独自技術や商品のユニークさを強みと捉えて、売り上げ増加に導いた。下請けの製造会社が持ち前の技術を活用してオリジナルの清掃用具を自前で開発したり、農家が規格外のイチゴをブランド化して積極的に売り出したりと、成功例がいくつもある。長所をとことん生かす発想は、湯沢市にとっても参考になるはずだ。

 売り上げが低迷している中小企業には、経営改善に向けた具体的なアドバイスが必要だ。だが、多くは民間コンサルティング会社と契約を結ぶ金銭的な余裕に乏しい。行政の経営相談が頼りになるが、補助金申請や事業計画作成の支援、講師を招いたセミナー開催などにとどまっているのが現状だ。ビズモデルは、こうした閉塞(へいそく)的な状況を切り開くために打ち出された。

 ゆざわ―Bizのセンター長には、全国124人の応募者の中から東京都出身の藤田敬太さん(41)が選ばれた。全国紙記者から半導体専門商社の役員に転身し、ゼネコンのベトナム法人社長なども務めた職歴を持つ異色の人材だ。報酬は月額100万円。現在、富士市などで研修を受けている。

 これまで湯沢市とはまったく縁がなかったというが、その分、外部の視点から個々の企業が持っている力を引き出し、市場ニーズに結び付ける役割が期待される。培った人脈や豊富な経験を生かし、存分に手腕を振るってほしい。

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