社説:白神アクセス道 観光振興に十分活用を

お気に入りに登録

 藤里町と青森県西目屋村を結ぶ県道・西目屋二ツ井線が今年、2年半ぶりに全面通行可能となり、春から秋にかけての観光シーズンを終えた。

 世界自然遺産・白神山地に通じる重要なアクセス道路だが、大雨に伴うのり面崩落などの被害が相次ぎ、一部で通行規制が敷かれていた。工事が進んだため今年5月にようやく全面通行が再開され、11月から冬季閉鎖に入った。ただ、のり面補強はまだ残っており、冬季閉鎖期間中も含め、工事は当面続く見通しだ。通行の安全確保に十分配慮しながら、着実に観光振興を進めることが求められる。

 通行規制されていたのは西目屋二ツ井線の本県側6・5キロ、青森県側14・8キロの計21・3キロだ。4、5メートルと比較的幅の狭い区間が多いため、大型バスの往来は厳しいのが実情だ。だが、釣瓶落(つるべおとし)峠と呼ばれる県境付近では深い渓谷と岩肌に映える紅葉を眺望できるなど、重要な観光ルートとなっている。工事が進み、峠を挟んで行き来できるようになったのは両県にとって意義が大きい。

 通行規制されていた区間の南側に白神観光の拠点である白神山地世界遺産センター藤里館がある。来館者数は全面通行再開後の5カ月間(6~10月)で1万2755人に上り、規制されていた一昨年と昨年の平均より4%増となった。交通の便が向上したことが観光客に浸透すれば、一層増加するだろう。

 観光客の増加に備え、のり面補強を着実に進めたい。県によると、工事を要する場所がまだ10カ所程度ある。工期に入るたび、一時的にせよ片側通行を余儀なくされるのはやむを得ないことだが、あまりにも長期化すれば、観光面で大きなマイナスとなる。工事を停滞させることなく、さらなるアクセス向上を図りたい。

 観光振興については、近年主流となっている広域周遊型のツアーに目を向けるべきだ。西目屋二ツ井線の全面通行再開を踏まえ、本県と青森県を結び付ける旅行商品を提示できないか。ブナの原生林に気軽に親しめる藤里町の岳岱自然観察教育林や、西目屋村の暗門の滝など、さまざまな組み合わせが考えられる。弘前市や大館市、能代市、八峰町なども加われば、さらに充実したプランになる。

 心強いのは、全面通行再開をきっかけに、藤里町と西目屋村の間で、観光振興などに関する話し合いが盛んに行われるようになってきたことだ。白神という財産を生かし、誘客のアイデアに知恵を絞るなど、今後とも連携を深めてほしい。

 日本海沿岸東北自動車道の大館能代空港インターチェンジ(IC)―今泉IC(7キロ)が来年度開通する予定となっているのも追い風と言える。青森県から西目屋二ツ井線を通って本県入りした観光客を、日沿道から県内のさまざまな観光地へと導きたい。