社説:20年度予算案 拡大一辺倒では危うい

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 政府は2020年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は102兆6580億円と過去最大を更新した。当初予算として100兆円の大台を超えるのは2年連続だ。

 人口減少や少子高齢化が進む中、国民生活を支える社会保障をいかに維持していくかなど、財政のかじ取りは年々厳しさを増している。だがまたしても、そんな現実を直視していないかのような大盤振る舞いの予算となった。安倍政権下で始まった歳出拡大路線は歯止めがかかるどころか、一層顕著になったと言える。これでは、懸案である財政健全化は遠のくばかりである。

 社会保障関係費は医療、年金、介護に加え、幼児教育・保育や大学などの高等教育無償化もあり、5・1%増の35兆8608億円に上った。高齢化の進展に伴い、ある程度かかり増しになるのはやむを得ない。ただ、財源には当然限りがある。その中でいかにやりくりするかには、もっと知恵を絞らなければならないだろう。

 22年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始める。社会保障費がさらに膨らむことを踏まえ、現在進められている全世代型社会保障検討会議などの場で徹底的に議論すべきだ。セーフティーネットの維持に十分気を配りながら、集中と選択を進めることが肝要だ。

 防衛費の突出ぶりが依然として目立つ。1・1%増の5兆3133億円に達し、8年連続の増加となった。12年に第2次安倍政権が発足して以来、増額続きだ。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」関連費や海上自衛隊の護衛艦「いずも」を空母化する改修費などが盛り込まれているが、本当に必要な予算なのか。

 地上イージスはトランプ米政権から購入を迫られた結果だと指摘されている。今後は在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)の増額を求められることも懸念される。要求に応じてばかりでは支出が膨らむばかりだ。予算が限られていることを踏まえ、毅然(きぜん)とした姿勢で外交に臨むべきだ。

 税収見込みも甘さが目立つ。1兆円増の63兆円としたが、前提となる実質国内総生産(GDP)の成長率は1・4%程度で民間の予測を大きく上回り、専門家からは「現実的ではない」と指摘する声が上がっている。企業収益を増やし、税収増につなげるアベノミクスには陰りが見えるのが実情だ。見通しを誤れば税収が不足し、年度途中で赤字国債の増発に追い込まれかねない。

 国と地方の借金は先進国で最悪レベルの1100兆円を超えているが、さらに拡大する見通しだ。このままでは将来世代に大きなツケを回すことになる。規律の緩い予算編成を改め、事業の精査や無駄の削減に全力を挙げ、財政の立て直しを図ることが急務である。