社説:氷河期世代 就労支援に全力挙げよ

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 政府は、バブル経済崩壊後の就職難で正規雇用の機会に恵まれなかった「就職氷河期世代」の就労支援に乗り出す。この世代を対象に国家公務員の中途採用を重点的に進めることなどを盛り込んだ行動計画をまとめた。安定した就労の場の確保に官民を挙げて取り組みたい。

 氷河期世代は1990年代半ば以降の約10年間に大学などを卒業した人たちで、現在は30代半ばから40代半ばになっている。当時、企業が新卒採用を大幅に抑制したため、非正規雇用で働かざるを得ない人が多かった。現在でも正社員を希望しながら非正規で働く人が約50万人おり、就職を望みながら長期間働いていない人なども合わせると100万人に上るとされる。

 たまたま社会に出た時期がバブル崩壊に重なり、新卒一括採用などの雇用慣行もあって、その後も安定した職業に就けなかったことは、個人の責任とは言い難い。今回、行動計画を示したとはいえ、政府が腰を上げるのが遅すぎた印象は否めない。この世代には50代を迎えようとしている人もおり、もう猶予はない。支援を急がなければならない。

 政府がここに来て支援に力を入れる背景には、多くの企業が深刻な人手不足に悩み、新卒採用は「売り手市場」になっている現状を、氷河期世代の正社員化を図る好機と捉えたことがある。この世代が低所得や無年金の状態のまま65歳以上になると、社会保障財政が一層悪化することは避けられないとの危機感もある。

 行動計画によると、政府は今後3年間で、官民合わせて正規雇用を30万人増やすことを目標としている。この世代に特化した支援策に650億円超の予算を確保する。国家公務員の採用試験は各省庁統一とし、来夏の実施に向けて規模や省庁の方針を詰める。

 省庁が足並みをそろえて採用方針を打ち出し機運を醸成することで民間への波及を図るほか、地方自治体にも中途採用を促す。特に民間企業の取り組みが目標達成の鍵を握るだけに、民間への働き掛けを強めたい。

 重要なのは本人の希望と職場とのマッチングを十分に図り、資格取得や職業訓練などの面で手厚い支援を行うことである。計画が、全国のハローワークに専門窓口を設け、就職相談から職場定着までの一貫した支援体制を構築するなどとしていることは歓迎される。

 採用に積極的な企業への助成金を拡充する。さらには、現在は原則禁止とされている年齢を限定した採用活動を、この世代に限り全面解禁する。

 長期間働いていない人たちの中には、十分な能力を身に付ける機会がなかったために自信を失うなどして引きこもりになった人たちも多く、すぐに就職を促すのは難しい面もある。個々の事情に寄り添ったきめ細かな対応を進めたい。