社説:新年を迎えて 人口減に立ち向かおう

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 2020年が幕を開けた。東京五輪・パラリンピックの年である。長く人々の記憶に残る年となることは間違いない。前回の東京五輪が開かれた1964年は高度成長期で、五輪を通じて日本の戦後復興を世界にアピールした。それから56年。時代は大きく変化した。地方は人口減、少子高齢化にあえいでいる。どうやって地域を持続していくのか。地方に生きる私たちに突きつけられている課題である。一人一人が自問自答し、人口減に立ち向かう1年としたい。

 安倍政権は地方創生を政策の目玉に据え、東京一極集中の是正を目指す。だが地方から東京圏への転入の超過に歯止めがかからない。地方創生の羅針盤となる「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は第2期(2020~24年度)を迎える。残念ながら第1期は目立った成果を上げられなかった。第2期では具体的な成果が求められる。戦略に掲げる目標数値の達成に向けては、実効性の高い施策が不可欠である。

 こうした中で、政府が力を入れるのが「関係人口」の拡大である。大都市圏に住みながら、祭りへの参加や週末の副業などで地方に関わる人たちを指す。すぐに地方の人口増に結び付くわけではないが、大都市圏からの「応援団」が増えることは地方の活性化にもつながる。関係人口を増やすために地道な努力を続けていく必要がある。

 本県の総人口は96万5927人(19年10月1日現在)で、06年以降、毎年1万人以上が減少している。国立社会保障・人口問題研究所は20年後の40年には70万人を割り、67万人台に、45年には60万人台になると推計している。

 人口減により社会が縮小する中にあって、持続へのキーワードの一つに挙げられるのが「共助」である。財政難や人手不足から行政のサービス水準の低下が懸念される。地域でできることは住民が協力し合って解決することが重要になる。

 買い物空白地では小さな店を運営したり、公共交通空白地では送迎車を運行したりと、住民自身がコミュニティー維持のために活動している地域が徐々にではあるが出てきている。こうした動きを拡充していかなくてはならない。

 その前提となるのが住民一人一人が地域の実情を認識した上で、積極的に地域に関わっていくという意識を共有することである。10年後、20年後を見据えて、知恵を絞っていきたい。

 安倍政権はどこに向かうのか。長期政権と「安倍1強」のおごりや緩みばかりが目立つ。自らの立場のみを主張し、異なる意見は遠ざける。国会運営は強引さを増し、「桜を見る会」などの問題についても安倍晋三首相自ら国会で説明責任を果たそうとの姿勢は見られない。安倍首相が繰り返し口にする「謙虚で、丁寧な」政権運営とは程遠い。

 多様な意見をくみ上げ、その上で合意を形成していくことが民主主義の原点である。原点に立ち返った政権運営を強く求めたい。

 海外に目を向ければ、秋には米大統領選が行われる。米国第一主義を掲げるトランプ大統領の自己中心的な政治手法は世界の分断を進める要因ともなった。トランプ氏の4年を米国民がどう評価するのかに、世界の視線が集まる。