社説:IR汚職事件 国会の場で徹底解明を

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 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、新たな展開があった。日本維新の会衆院議員の下地幹郎元郵政民営化担当相が衆院選期間中の2017年10月、贈賄の疑いが持たれている中国企業「500ドットコム」の関係者から、選挙資金として現金100万円を受領していたことを認めた。

 衆院議員秋元司容疑者=自民党を離党=が「500」社側から17年9月に現金300万円や約70万円相当の利益供与を受けたとして、東京地検特捜部に収賄容疑で逮捕されたのが昨年12月。その後、他の衆院議員5人にそれぞれ100万円を渡したとの供述が同社関係者からあった。下地氏は5人のうちの1人。受領を認めたのは下地氏が初めてだ。別の自民党衆院議員の関与も取りざたされており、全容解明が望まれる。

 事件を受け、野党はカジノ問題追及本部を発足させた。20日召集予定の通常国会で追及する構えだ。安倍政権が成長戦略に掲げるIR事業だが、ギャンブル依存症増加や治安悪化への懸念もあり、かねて反対論は根強い。その上、業者と国会議員の間に癒着が疑われるとすれば、見逃すことなどできない。捜査とは別に、各議員と「500」社との関係がどうだったのかを、国会の場で明らかにする必要がある。

 下地氏は当初は否定していたのに一転して受領を認め、離党届を提出した。事務所で職員が、「500」社側から現金の入った封筒を受け取った事実があったという。政治資金や選挙運動に関する収支報告書に記載しておらず、少なくとも政治資金規正法に抵触する可能性がある。

 便宜供与を図った事実はなく、そうした権限もないと釈明しているが、当時は超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連)の幹部だった。日本維新の会の松井一郎代表は「過失では済まない」と批判し、議員辞職が相当だとしている。だが、辞めれば済む問題ではない。その前に現金授受に至った経緯などを十分説明することが求められる。

 下地氏以外の4人はいずれも受領を否定しているものの、下地氏が「500」社側の供述通りの金額を受領していたことを踏まえれば、この4人の主張も果たして本当なのか疑念が湧く。問題がないのかをあらためて確かめるべきだ。

 5人のうち、IR議連で幹部を務めていたのは下地氏を含め3人いる。残りの2人にしても、同社が参入を狙っていた北海道や沖縄県を地盤とする点が共通している。政界工作の標的にされたとすれば大きな問題だ。

 今後とも業者による参入競争の激化が懸念される。IR事業が利権の温床になってしまう事態は回避しなければならない。政府は事件の進展も見据え、このまま事業を進めるべきか慎重に見極めることが必要だ。