ひとり考:ピアサポーター 苦しみ、話して手放す

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中学時代、絵が救いだったという由希子さん。今もずっと描き続けている
中学時代、絵が救いだったという由希子さん。今もずっと描き続けている

 小学生の頃、体育の時間が怖かった。例えばバスケットボールをすると、誰にボールをパスすればいいか分からない。敵と味方の区別がつかないのだ。「こっちこっち!」と言われ、パスした相手は敵だった。味方の子たちににらまれ、混乱した。

 さまざまなことを一度に判断するのが苦手。集団行動が苦手―。「だから人と違うことをしてしまう。なぜ私はみんなと違うんだろう?」。由希子さん(39)=大仙市、仮名=はずっとそう思ってきた。

 通っていたのは各学年1クラスの小さな小学校。おとなしい由希子さんは、やがていじめられるようになった。地域の大人は「まとまりのある学年だ」とよく褒めた。だが、由希子さんから見える風景は違っていた。

 「みんなにとって私は『いじめていい存在』だった。一人を標的にすることで、全体がまとまっていたのかもしれない」

 苦しみをどう言い表していいか分からず、大人に助けを求めることはしなかった。何より母を心配させたくなかった。だから全てのみ込んだ。

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