社説:アニメ会社進出 優秀な人材育成目指せ

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 首都圏のアニメ関連会社2社が秋田市に進出し、今年4月にそれぞれ制作スタジオを開設する。秋田公立美術大と連携して人材確保を図るとしている。

 スタジオを開設するのは、テレビアニメの背景画を制作する「代々木アートプランニング・石垣プロダクション」(東京都)と、キャラクターなどの動画制作を行う「つむぎ作画技術研究所」(埼玉県)である。両社の進出を機に本県がアニメ制作の拠点として定着することを期待したい。

 日本のアニメは世界中に多くのファンがおり、日本の重要な輸出品になっている。現在、国内のアニメ関連会社は首都圏に集中しているが、背景画などの作業の多くは人件費が安い海外に発注されることが多い。

 国内の人材育成に投資する余裕は少なく、高い技術を持った若手、中堅のアニメーターは慢性的に人材不足が続く。優れた人材を奪い合う状況が生まれているという。そこで両社が注目したのが秋田美大だ。美大で美術を学んだ学生の中から、アニメ界を支える優秀な人材が輩出してほしい。

 秋田美大の学生は7割が県外出身である。希望に沿った就職先や求人が県内に少ないこともあり、卒業生の7割は県外就職している。就職先としてアニメ関連会社の人気は現在でも高い。県内に就職先が増えることは歓迎される。

 両社が本県に進出する理由は人材難だけではない。デジタル技術の発展に伴いパソコンの画面上で作画し、インターネットでやりとりが可能になったことで、地方でアニメ制作がしやすくなったこともある。

 秋田美大は、デジタル技術を含むアニメ関連の教育や就職支援の検討を始めた。両社以外に本県進出を考える会社が出てくる可能性もあることを踏まえ、教育内容の充実を図るべきだ。

 石垣プロが開設する新スタジオは従業員10人でスタートし、5年間で20人ほどの規模を目指す。スタッフの大半は秋田美大の卒業生とする見込みだ。つむぎ作画技術研究所は新スタジオ開設に当たり10人を新規採用し、その後3年をめどにさらに5人程度を雇用する計画だ。両社とも若者や女性が働きやすい環境を整え、就職先としての魅力を高めてもらいたい。

 県人口は減少に歯止めがかからず、就職や進学で県外へ転出する人が転入する人より多い状況を改善することが課題だ。アニメ関連会社の雇用規模は決して大きくないが、地域活性化の好事例と受け止めたい。

 日本を代表する文化となったアニメの影響力は大きい。自然豊かな県内の風景がアニメに登場し、熱心なファンが「聖地巡礼」のために本県を訪れることも考えられる。アニメ制作が産業として県内に根付くと同時に、本県の魅力を広く発信する役割も担うようになることが望まれる。

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