遠い風近い風[小嵐九八郎]口笛と草笛への憧れ

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 やや気が失(う)せていますが、明けましておめでとうございます。この新年の嬉(うれ)しさに満ちた言葉も、どうも近頃は勢いがないような気がする。小説家だけど不勉強な当方は勝手に、江戸時代からの庶民の、飢え、天災、病などから何とか脱(ぬ)けて、一年生きられて幸せですう、の気持ちが籠(こ)められていたと考えている。

 そして今年の1月4日、三が日のちょっぴり張り詰めた気分が解ける日、久し振りに早起きして我が家の門あたりの鉢に水を撒(ま)いていたら、勤め人ふうでも遊び人ふうでもあるような二十代後半と映る若者が、おや、近頃では珍しく、口笛を吹いて通り過ぎて行った。あん? 歌は、春を恋うのか童謡じみた「早春賦」だ。へえ、スマホを手に持ってないし、この青年は大丈夫か、世の中を渡っていけるのかと俺は戸惑った。

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(全文 1280 文字 / 残り 930 文字)

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