社説:新スタジアム整備 必要性含め議論深めよ

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 サッカーJ3・ブラウブリッツ秋田(BB秋田)の本拠地となる新スタジアムの整備を巡り、秋田市の穂積志市長は、外旭川地区が「有力な候補地の一つ」との考えを初めて示した。従来候補地とされていた市営八橋運動公園、秋田プライウッド本社(川尻)、秋田大学(手形)の3カ所については「課題を抱え困難だ」と述べ、整備の可能性を否定した。

 今後、スタジアムの候補地選定は外旭川地区を中心に進む可能性がある。スタジアムが必要かどうかも含め、施設の整備費や維持費、まちづくりとの関連など、多様な視点から議論を深めていくことが求められる。

 3候補地のうち、県は八橋運動公園を有力視していた。穂積市長は、建設地として想定される現在の第2球技場と健康広場が使えなくなり、利用者の理解が得られないなどと指摘した。

 第4の候補地として浮上してきた外旭川地区は、JR奥羽線の新駅が2021年春に開業する。流通大手イオンのグループ会社イオンタウン(千葉市)による大規模複合商業施設の出店構想もある。

 地域住民や秋田市議の中には新駅と大規模商業施設、新スタジアムを連動させて地区のまちづくりを進めることを求める動きがある。穂積市長の発言はこうした動きに応えたものともみられる。

 20年度に次期総合計画と総合都市計画を策定するとし、策定過程で外旭川への整備を検討するという。市はこれまでまちづくりの基本方針である「コンパクトシティー」とは相いれないとして、イオンの進出に消極的な姿勢を示してきた。外旭川を新スタジアムの候補地とすることで方針を転換するのか、発言の真意が問われる。

 本県は人口減、少子高齢化が加速し、自治体財政は厳しさを増している。新スタジアムの整備費は100億円と見積もられている。整備を望む声は多いが、必要性を疑問視する声も根強いのが現状だ。

 スタジアムを整備するとしても、単に試合を行うだけの施設にしてはならない。多額の維持費に見合った収益を上げる必要がある。コンサートなど各種のイベント開催が期待される。欧州にはショッピングモールやホテル、映画館などを併設することで収益を上げているスタジアムもある。成功事例を参考にしながらも、コンパクトシティーとの整合性を図り、市全体のまちづくりに配慮した議論を進めてほしい。

 BB秋田は17年、J3で優勝し、J2昇格への期待が高まったことから新スタジアム整備の機運が盛り上がった。だが一昨年と昨年は共に8位に終わった。J3全体のレベルが上がっているとはいえ、J2昇格の可能性が低くてはスタジアム整備への市民、県民の理解を得るのは難しい。今後の奮起なしに、整備構想は前に進まない。