社説:地域おこし協力隊 定住増へ就業支援図れ

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 地域おこし協力隊の隊員として本県に移住した人のうち、退任後も定住している人は半数に満たないことが県の調べで分かった。人口減や高齢化が進む本県にとって、移住・定住の促進は喫緊の課題だ。県や市町村は移住がなかなか定住につながらない点を重く受け止め、対策を考える必要がある。

 県によると、総務省の地域おこし協力隊制度が始まった2009年度以降、県内で協力隊員となった157人のうち、昨年11月1日までに退任したのは91人。このうち、そのまま本県に定住した人は49・5%に当たる45人にとどまった。

 同省による16年度末時点の調査で、地域おこし協力隊の本県での定住率は36・8%で全国平均の62・6%を大きく下回り、都道府県別で下から3番目の低さだった。それに比べれば上がったものの、十分と言うには程遠い状況だ。

 地域おこし協力隊制度は、地方に都市部の人材が移住し、地域活性化を図る狙い。地場産品の開発・販売や地域の魅力発信、移住・定住のPRなどを行う。報酬や活動費は国が補助する。応募して採用された隊員は1~3年間、都道府県や市町村の委嘱を受け、業務に当たる。

 本県の隊員が退任後に定住しなかった主な要因に、就業する場が見つからなかったことが挙げられる。任期を終えてなお住み続けるかどうかは仕事の有無が鍵を握る。知らない土地に移り住んで地域に溶け込み、生活を軌道に乗せるのは容易ではない。自治体は隊員の希望をよく聞き、起業や就職をしやすい環境づくりに力を入れるべきだろう。

 自治体が求める業務と隊員の希望が釣り合わないミスマッチにより、隊員が任期途中で退任してしまう例も少なくないようだ。隊員は大半が20~30代。多くは転職して着任し、移住を人生の転機にしたいと考えている。こうした人材が、希望がかなわず残念な思いを抱えたまま、本県を去ることは避けなければならない。

 自治体に、地域活性化に取り組む人員を隊員の採用で一時的に穴埋めするという安易な認識があるとすれば、改めるべきだ。地域の魅力掘り起こしを隊員に丸投げするようなことも、あってはならない。個々の隊員のアイデアや能力を生かしながら、いかに力を合わせて地域発展につなげていくかが問われている。

 国は18年度時点で全国に約5千人いる地域おこし協力隊員を、24年度に8千人に増やす意向だ。本県もこの機会を生かして隊員の増員を図り、定住増に結び付けたい。

 そのためには、本県に移り住んだ隊員が定住しなかった要因や背景を、県や市町村がいま一度しっかり分析し、改善していく必要がある。それが働きやすく、住みやすい地域づくりにつながるはずである。