社説:公文書管理 ずさんな実態、目に余る

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 首相主催の「桜を見る会」の文書管理を巡って、ずさんな実態が相次いで明らかになっている。公文書管理法違反に当たる行為までが発覚している。政府はこれまで取り扱いは「適切」と強弁してきたが、一転して違法性を認める事態に陥った。それでも政府は招待者名簿の存否は再調査しないとの姿勢を崩していない。国民の疑念は膨らむばかりである。真相究明と国会での説明が不可欠である。

 ずさんな文書管理としては、2013~17年度分の招待者名簿を公文書管理法が義務付けている「行政文書ファイル管理簿」への記載を怠っていたほか、文書を廃棄する際に必要な首相の同意を得ることなく廃棄していたことが判明している。

 名簿を廃棄する際に廃棄簿への記載をしていなかったことも発覚。さらには、昨年11月に推薦者名簿の一部を消して国会に提出していた。

 深刻なのは、公文書管理制度を所管し、政府全体の適正な運用の推進や監察業務を担う内閣府でこうした行為が起きていることである。内閣府関係者は野党の追及本部会合で「担当者の意識が薄く、漫然と引き継がれていた」と釈明した。

 果たして本当にその通りだろうか。問題を振り返れば、招待者名簿は昨年5月に共産党議員が資料を請求した直後に廃棄されているなどタイミングの不自然さが際立つ。桜を見る会への参加者が年々増加し、安倍晋三首相の地元後援会員が多数招かれていたことなど、政権にとって不都合なことを隠そうという意図が透ける。漫然とした引き継ぎが要因とは考えがたい。責任の所在を明らかにし、関係者を処分することが求められる。

 11年に施行された公文書管理法は、行政文書について「国民共有の知的資源として、国民が主体的に利用し得るもの」と定義している。文書を管理簿に記載するよう義務付けているのもインターネット上で公開し、情報公開請求に活用されることを想定してのことである。

 安倍政権下では公文書や公的記録関連の問題が目立つ。「森友学園」への国有地売却に絡んでは、財務省が18年3月に決裁文書改ざんを発表した。17年~18年にかけて防衛省で日報の隠蔽(いんぺい)問題も発覚している。

 今回の招待者名簿を巡る一連の問題も、安倍政権への官僚の忖度(そんたく)が働いているとすれば、国民の「知る権利」をないがしろにする行為である。民主主義の根幹を揺るがす事態であり、断じて許されない。

 共同通信が今月実施した世論調査では、桜を見る会の疑惑について安倍首相が「十分説明しているとは思えない」との回答が86・4%に上った。再調査に応じようとしない政府の姿勢への不満もあるだろう。

 20日からは通常国会が始まる。安倍首相は疑念から逃げずに真摯(しんし)に向き合い、説明責任を果たすことが求められる。

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