社説:新型肺炎 感染拡大防止徹底図れ

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 中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の発症者が急増している。中国政府は22日になって初めて会見を開き、発症者が400人を超え、死者は9人に上ったと発表した。ウイルスが人から人に感染していることを認めたほか、変異によって感染力が増す可能性もあるとした。

 ウイルス感染は中国の武漢市から始まった。今月11日に同市が発表した時点で発症者41人、死者1人だった。その後、中国の他の地域やタイ、韓国、米国などで確認され、広がりは顕著となった。日本でも男性1人の感染が確認されている。動物を取り扱う武漢市中心部の海鮮市場が発生場所とみられるが、感染源は特定されていない。中国が封じ込めに全力を挙げるのはもちろん、日本をはじめ各国は水際対策を強化しなければならない。

 日本は空港や港の検疫所でサーモグラフィーによって旅行者の体温を監視し、感染者の発見に努めている。だが感染が確認された男性は、武漢市を滞在中に発熱したものの、解熱剤を飲んでいたことから、検疫所をそのまま通過していた。その後医療機関を受診した結果、感染判明となった。

 水際対策では、こうした例があることを前提に、熱やせきなどの症状がある人には、そのことを渡航歴とともに申告してもらうなどの対応を徹底することが不可欠だ。

 中国は24日から春節(旧正月)に伴う連休に入る。多くの中国人観光客が日本に訪れる可能性があるだけに、検疫所ではなおさら注意が必要だ。態勢を整え、しっかりチェックしてもらいたい。

 それでも、感染者の入国を完全に食い止めるのは難しいだろう。ウイルスはせきやくしゃみのしぶきを介して広がるとみられるが、治療薬やワクチンはなく、今後開発するとしても相当の時間がかかるとみられる。感染予防のために有効とされるのはインフルエンザ対策同様、小まめな手洗いだ。普段から励行することが大切である。

 コロナウイルスは人や動物に感染するウイルスの一種だ。2002~03年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)では、アジアを中心に770人余りの死者が出た。発生源だった中国の情報公開は不十分で、報道規制も見られた。それにより対応が後手に回ったと世界から批判が集まった。

 今回も中国政府からの情報発信は乏しかった。22日の会見まで正式な説明がなかったのは残念である。

 専門家からは、SARSほど感染力が強くないとの見方が示される一方、事態のさらなる悪化を想定して備えを急ぐべきだとの声も上がる。重要なのは正確な情報を基に分析を進め、冷静に対応することだ。そのためにも中国の速やかな情報公開が欠かせない。

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