社説:五輪サイバー攻撃 危機感を持って備えよ

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 東京五輪の開幕まで、あと半年となった。平和の祭典を成功に導くため、近年重要度が高まっているのがサイバー攻撃対策だ。

 世界最大のスポーツイベントである五輪はこれまで、インターネットからシステムに侵入してサイバー攻撃を繰り返すハッカー集団の標的にされてきた。公式ウェブサイトや開催国の情報、政府関連のサイトが攻撃を受け、情報流出などの被害に見舞われた。そうしたことがないよう、大会組織委員会は備えを万全にしなければならない。

 2012年のロンドン五輪でサイバー攻撃の回数が2億回を超えた。16年リオデジャネイロ五輪では5億回超に達し、世界反ドーピング機関(WADA)から200人以上の選手らの医療データが盗まれた。さらに18年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪では、開会式直後にシステムの大規模障害が発生。ウイルス感染によって、チケットの発券システム停止などの被害も出た。

 昨年のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会でも、組織委員会への攻撃が相次いだ。ロシア情報機関との関連が指摘されるハッカー集団の動きが確認されている。WADAがロシア選手団を東京五輪・パラリンピックから除外する内容の処分案を発表したことで、東京が狙われる危険性は高まったといえるだろう。

 先日、東京五輪・パラのスポンサー企業で大手電機メーカーの三菱電機が、サイバー攻撃を受けていたことを公表した。外部に流出した情報が、東京五輪・パラ開催に向けて、さらなる攻撃に悪用されてしまう恐れも否定できない。大会組織委は「あらゆる企業が攻撃の傾向を把握し、対策を講じる必要がある」と注意を呼び掛けている。

 企業にとってセキュリティー対策は急務だ。費用負担が足かせとなり、二の足を踏んでいるところもあるかもしれないが、サイバー攻撃を受けて情報が漏えいしてしまった場合、その規模や内容によっては、社会的な信用を失いかねない。

 電力、通信、交通などの重要な社会インフラも、ハッカーの標的となっている。人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の普及に伴い、新たなタイプのサイバー攻撃にさらされる事態も懸念される。障害が起これば国民生活に多大な影響が及んでしまうだけに、政府や自治体、関係企業は警戒を怠れない。

 東京五輪では自動運転車両での人員輸送、顔認証システムでの入場者管理など多くの先進技術が使われる。画期的ではあるが、それだけ攻撃対象が増えるということでもある。

 ハッカーの攻撃の手口は進化し、多様化する一方だ。今までにない規模の攻撃が行われることも想定しなくてはいけない。官民で情報を共有し、危機感を持って対策に取り組んでもらいたい。

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