北斗星(1月28日付)

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 聞かないといけないと思ってはいるのだが、聞き出せないことがある。預金通帳と印鑑、実家の権利証はどこにあるのか。延命治療を希望するのか。葬儀の形式はどうするのか

▼父は80代後半で1人暮らし。足腰が少々弱り、耳も遠くはなったが、それ以外は至って元気。それだけにどうやって話のきっかけをつくろうかと悩む。実家に行く前は今回こそはと思うものの、結局は先送りにして帰ってくることの繰り返しである

▼同じような悩みを抱えている人が多いことがわかった。民間の調査では、60歳以上の親がいる人のうち約57%が、あらかじめ遺言を準備したり、身の回りの整理をしたりして人生の終わりに備える「終活」について親と話し合った経験がないというのである。「切り出しにくい」「機会や時間がない」「親が元気なため必要がない」などを理由に挙げている

▼死をテーマに家族で話すことは容易ではない。相続などの問題が絡むと敬遠しがちな傾向にあるようだ。終活の言葉が使われるようになったのも、ここ10年ぐらいのことである

▼調査には「親が認知症になる前に希望を聞いておくべきだった」「急死したため銀行口座などの扱いに困った」との声も寄せられている。話さずじまいだったことを後悔している人が少なからずいる

▼親には健康で長生きしてほしいと願う。だがいつかは別れの日を迎える。「その時」に慌てないためにも、家族が向き合い、話し合っておくことが大切である。

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