ひとり考:幸せに つながり、感じながら

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居間で過ごす重子さん。テーブルには為吉さんが電線で編んだ果物籠、壁には似顔絵がある
居間で過ごす重子さん。テーブルには為吉さんが電線で編んだ果物籠、壁には似顔絵がある

 午前7時。目が覚めると、寝室のベッドから窓の外を眺める。薄緑のブラインド越しに、ごみ捨てに行く近所の人が見える。「おはよさん」とあいさつを交わす人。学校へ急ぐ子どもたち―。そんな気配を感じながら伊藤重子さん(82)=大仙市=の一日は始まる。

 9年前に夫の為吉さんが亡くなり、1人暮らしになった。足が不自由なため自力で歩くことができず、外出は月に一度の通院くらいだ。

 まずベッドで朝食のバナナを食べ、昼ごろまで過ごしてから居間へ移動する。築88年の家は段差が目立ち、車椅子は危ないので使っていない。

 重子さんが移動に役立てているのが、福祉用具のスタンド。本来は立てて手足の支えにする補助具だが、重子さんは横に倒して握り、腕の力で正座した脚を浮かせながら、ゆっくり家の中を行き来している。

 「そうして使う人は初めてだと福祉の人に驚かれました」。以前、床から立ち上がれなくなった時に何げなくスタンドを倒し、見つけた方法だった。

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