社説:桜見る会、隠蔽発覚 資料の再調査が不可欠

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 首相主催の「桜を見る会」を巡って、内閣府が招待者の人数の内訳を記した資料を、8カ月にもわたって隠蔽(いんぺい)していた事実が発覚した。またしても官僚の忖度(そんたく)が働いたのか。疑念は膨らむばかりである。廃棄したとする招待者名簿の存否を含めて再調査は不可欠である。

 隠蔽していたのは、2014~19年の招待者に関し、「各界功績者(総理大臣等)」「各界功績者(各省庁)」など区分ごとに人数を記した資料である。

 内閣府は昨年5月時点で資料の存在を把握していた。それにもかかわらず、今月まで国会はもちろん、菅義偉官房長官にも報告していなかった。

 菅氏は昨年11月の衆院内閣委員会で、内閣府などへの聞き取り調査結果を説明している。だが内閣府は同委員会開催前の菅氏への説明でも内訳資料の存在を伝えていなかった。

 内閣府が資料を提出したのは今月21日の参院予算委員会理事懇談会の場である。菅氏にはその前日に報告した。内閣府は「野党側が求める文書には当たらないと判断した」と釈明しているが、にわかに信じがたい。

 桜を見る会は、安倍晋三首相の「公的行事の私物化」が問題の核心である。内訳資料をみると、18年に「各界功績者(総理大臣等)」として招かれた人数は9494人で、17年の7595人から急増している実態が浮かび上がる。首相の招待者が膨れ上がっていることを表に出してはいけないとの忖度があったのではとの疑いを禁じ得ない。

 政治や行政の公平・公正性に疑義が生じた場合には、政府側が関係資料をすべて開示し、説明を尽くさなくてはならない。それが国会が行政監視機能を十分に発揮し、政策課題などを論議する上での大前提となる。公表すべき資料を省庁、官僚が隠蔽することは言語道断である。国民の「知る権利」をないがしろにする行為でもある。

 桜を見る会については、ずさんな文書管理が相次いでいる。招待者名簿を野党議員が資料要求した当日に廃棄したり、「行政文書ファイル管理簿」への記載が公文書管理法で義務付けられているにもかかわらず怠ったりしていた。

 招待者の内訳資料隠蔽が発覚したことで、他にも資料や文書が隠されているのではないのかとの疑念が生まれる。そもそも廃棄したとする名簿自体も残っているのではないのか。

 衆参両院の予算委員会では、真相の解明が一向に進まなかった。安倍首相自らが疑念を晴らそうとする姿勢に欠けていた。野党議員が「国民があなたの説明に納得していると思うか」と問うと、「国民の認識について私が判断すべきではない」とはぐらかした。

 安倍首相に求められるのは再調査を迅速に実施し、官僚に資料や文書をすべて提出させた上で、誠実かつ真摯(しんし)に疑問と向き合うことである。