北斗星(2月3日付)

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 ホテルを舞台にした古いテレビドラマが再放送されていた。外国人客への応対に悩む新人スタッフに、上司がアドバイスする。「カンバセーション(会話)より、コミュニケーション(意思疎通)を大切にしなさい」

▼外国人と向き合うと発音や文法ばかりを意識して、思ったことを口にできなかった人は少なからずいるだろう。くだんの上司は「話す前にいろいろ考えるよりも、まずは相手が何を望み、どうしてほしいのかを考えなさい」と言いたかったのである

▼ドラマを見ていて、元国連事務次長の明石康さんの講演を思い出した。自らの経験から英会話はミスを重ねながら自然と身に付くとし、仕事や関心のある事柄については話しているうちに語彙(ごい)力も付いてくると強調した

▼自身の英語は今も古里の「大館なまり」があるとする。働いていた国連本部でも職員それぞれが出身国のなまりを持っていた。「『秋田なまり』があっても、臆せずに堂々と話すぐらいの気概を持ってほしい」と、県民にメッセージを発した

▼外国のホテルで鍵を部屋に置き忘れた友人が「キー・イズ・インサイド、アイ・アム・アウトサイド(鍵は中に、私は外に)」と訴え、開けてもらったことがあった。思い切った表現だったが、コミュニケーションは取れた

▼本県を訪れる外国人が増え、街角で話し掛けられることもある。「秋田なまり」でも、単語の羅列でも構わない。相手に何かしてあげたいという気持ちこそが大事である。