社説:県の新年度予算案 佐竹県政、問われる成果

お気に入りに登録

 県の2020年度一般会計当初予算案が発表された。総額は前年度比で53億円増の5794億円。15年度以来、5年ぶりに前年度を上回ったが、平成以降の32年間では5番目に低い。

 20年度は来春任期満了を迎える佐竹敬久知事にとって、3期目の総仕上げの一年となる。予算案では県政運営指針「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」(18~21年度)で掲げる「ふるさと定着回帰」「産業振興」「人・もの交流拡大」など重点6分野に3割超の1900億円余りを配分した。限られた予算の中で、いかに県民生活の向上や充実につながる成果を上げられるかが問われる。

 県外への転出者数が転入者数を上回る「社会減」の圧縮は大きな課題だ。「ふるさと定着回帰」には社会減対策が数多く盛り込まれており、今回も移住やAターン就職の促進、高校生の地元定着対策などに239億円を充てた。

 元気創造プランでは15年10月~16年9月の1年間で4千人を超えた社会減を22年9月までに半減させる目標を示した。18年10月~19年9月は3917人。目標には遠いが、前年から500人縮小し、7年ぶりに4千人を下回った。これまでの施策が奏功している可能性がある。一層力を入れて取り組むべきだ。

 地域の応援団となる「関係人口」創出も対策の一つ。県や市町村でプロジェクト会議を発足させ、全県的に展開する。地域おこしや伝統行事の維持に県外居住者らの力を借りる試みであり、人口減が進む本県に不可欠だ。持続可能な地域づくりに向け、アイデアを出し合いたい。

 「産業振興」では、航空機や自動車、再生可能エネルギーをはじめとする成長産業の創出育成などに448億円を投じた。

 注目されるのは、秋田大と県立大による航空機の燃料供給システム電動化の研究だ。県は国と共に4億円超を支援する。横手市の自動車部品メーカーが開発した新型コイルを生かし、高効率のモーターの製品化を図る。本県製造業が航空機産業に本格的に参入する道を開く事業であり、しっかり後押ししたい。

 「人・もの交流拡大」では、東京五輪・パラリンピックに伴い、増加が見込まれる訪日外国人客の誘客策に3億円超を計上した。都内に開設される東北の情報発信拠点でPR事業などを展開する。本県を訪れる外国人宿泊客数は全国下位に低迷している。こうした機会を活用し、秋田の魅力を積極的に発信する必要がある。

 全1167事業のうち、新規事業は前年度比13減の54にとどまる。従来の事業を一部拡充したものも目立った。人口減だからこそ、活力を低下させないためにもっと知恵を絞りたい。

 予算案は14日に開会する2月県議会で審査される。議員は一つ一つの事業を入念にチェックするとともに、政策提言も含めて活発に議論してほしい。