社説:IoTで街づくり 注目したい横手の試み

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 情報通信技術(ICT)などを駆使してモノやサービスを提供する「Society(ソサエティー)5・0」の街づくりを目指す官民共同組織「YOKOTEコンソーシアム」が、横手市に誕生した。地方にいても、高齢化社会が進行しても、快適な市民生活を送れるように、先端技術を積極的に活用すべきである。議論や実証実験を通じて、横手市の将来像を示してほしい。

 ソサエティー5・0は、さまざまな機器を通信でつなぐ「モノのインターネット(IoT)」を進めて、蓄積したビッグデータを人工知能(AI)で解析することで、効率的な情報活用を図る社会。狩猟社会(ソサエティー1・0)、農耕社会(2・0)、工業社会(3・0)、現在の情報社会(4・0)に次ぐ。経済発展とさまざまな課題の解決につながるとして国が推進している。

 コンソーシアムは民間事業者らの提案に市が応じ、先月設立された。市、横手商工会議所、JA秋田ふるさとのほか、IT、医療、介護、建設、観光など合わせて20の団体や企業で構成する。こうした組織が民間主導で立ち上がったことは歓迎したい。市も積極的に関わり、バックアップしていくべきである。

 ソサエティー5・0が、日常生活での課題解決として具体的に想定しているのは、自宅でパソコンを通じて医師の診断を受けたり、注文した品物がドローンで自宅まで届けられたりすることである。買い物の際に自動運転の車両が自宅前まで迎えに来ることや、災害時の迅速な避難誘導なども考えられる。

 産業振興の面では、需要に即応した工業製品の生産と在庫管理、食の流行を予測した営農計画の作成、さらには水田や畑でのコンピューター制御による無人の農機を使った作業も期待できる。医療や介護現場での省力化にも役立つはずだ。

 一方、この春には、高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムのサービスが本格化する。タイムラグがほとんどなく、同時に多くの端末と接続できる特長があり、IoTに欠かせないインフラである。

 横手市の人口は約8万8700人。広域合併した2005年10月の約10万6500人から17%減り、65歳以上の割合は29%から38%に上昇している。

 人口減、高齢化が進む中で、官民が一体となって将来像を模索するコンソーシアムが果たす役割は大きい。市民が先端技術を身近に感じ、生活に欠かせないものとして使いこなせるように、市民視点での検討が大切である。

 コンソーシアムは今後、ソサエティー5・0の実現に向けて、実証実験やモデル事業、人材育成などに取り組むことにしている。すぐに答えを導き出せるものではないが、市民が暮らしやすくなるように、幅広く知恵を絞ってほしい。