ローカルメディア列島リレー(1)影山裕樹

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 全国のローカルメディアの作り手が、ローカルならではのメディアの形や取り組みについて綴るリレーエッセイです。紙もウェブも、看板やアートプロジェクトだって「ローカルメディア」に?! 特色あるローカルメディアの担い手たちのアイデアと奮闘の記録です。

ローカルメディアで人と地域がつながる

 インターネットが発達し、情報を得る手段が多様化している時代、地域で確かな信頼を得て、情報のセーフティネットとして機能してきたマスメディアが果たすべき役割はなんだろうか。すでに各地の地方紙が様々な実験をしている。福井新聞まちづくり企画班や、長崎新聞The Wayプロジェクトなど、枚挙にいとまがない。メディアに携わる人間はその大小に関わらず、メディアの常識にとらわれない新しいやり方を発明しなければ生き残っていけない時代だ。

 僕たちメディアに関わる人間は、自分たちが情報屋であるという自負でこれまでやってきた。でも果たしてメディアの役割は、情報を届けることだけなのだろうか?

 例えばJ:COMのようにコンテンツビジネスとともにネットや電気といった地域のインフラを抑えることもできる。あるいは、地域市民にとって新聞配達員とヤクルトレディの間に違いはそれほど、ない。東京にある農文協という出版社は全国に支部を持ち、まさに新聞配達員や修理業者と同じように、「普及」という職員が農家一軒一軒を周り、営業するだけでなく情報を集め、それを雑誌「現代農業」に生かしている。

 これからのメディアは記者・編集者のセンスでトップダウンに情報発信するのではなく、ボトムアップに、まさにそこにいる市民とともに作り出すという感覚が大切だ。そういう意味で、100年以上の歴史を持ち、秋田という地にどっしりと根付いている老舗新聞社の魁新報社が、市民が立ち上げたローカルメディア「ユカリロ」とタッグを組むセンスは間違っていない。この静かな地方紙の革命が全国に飛び火する日は、近い。

影山裕樹
編集者、合同会社千十一編集室代表。全国各地の地域プロジェクトに編集者、ディレクターとして多数関わる。青山学院女子短期大学非常勤講師も務める。

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