ローカルメディア列島リレー(3)木村敦子

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 全国のローカルメディアの作り手が、ローカルならではのメディアの形や取り組みについて綴るリレーエッセイです。紙もウェブも、看板やアートプロジェクトだって「ローカルメディア」に?! 特色あるローカルメディアの担い手たちのアイデアと奮闘の記録です。

盛岡の「ふだん」を綴るミニコミ誌『てくり』

 秋田県とは奥羽山脈を挟んでお隣、岩手県盛岡市で『てくり』というミニコミ誌をつくっています。冊子のテーマは「ふだんの盛岡」で、現在のスタッフはデザイナー1名(私)とライター2名、広告収入も行政のバックアップも何もない、まったくの自費出版です。

 我々が創刊時に決めたことは、だいたい次の4つでした。❶日々の仕事(企業広告や行政の広報など)でできないことをやる、❷取材対象を盛岡市内に限定する、❸なくなっていくものを記録する、❹お店紹介ではなく「人」をとりあげる。そんな地味な内容で続けていけるの? ネタがなくなるのでは? とも言われましたが、15年たった今のところ、まだ続いています。

 創刊当時、「リトルプレス」と呼ばれている冊子は、アートや詩などの自己表現系が主流だったように思いますが、近年「ローカルメディア」と呼ばれるようになってからはまさに地域の「ふだん=日常」をテーマにしたものがずいぶん増えたと感じています。

 なぜこんなに日本各地の、「地味」な、「ふだん」が注目されるようになったのか? 地方創生に予算が注ぎ込まれたことも大きいと思うのですが、変わっていくことへの危機感が根底にあるのかもしれません。ややもするとあっという間に消えていくスピードの速さに、ものの憐れを感じてしまう人種は少なからず全国に存在しているのでしょうね。さらに新しい世代は、その中にこそ新たなおもしろさを発見しているようです。

 昨今の盛岡は稀に見る転換期を迎えています。50年後、100年後の人々が弊誌を読んで「こんなことがあったのか!」と思ってくれたらおもしろいなと思いつつ、もうしばらく紙媒体での記録を続けていくつもりです。

木村敦子/盛岡(岩手)
アートディレクターとして「kids」主宰。仲間と設立したLLP「まちの編集室」では編集、取材も行う。てくり28号は「モリオカランドスケープ2019」と題して「建築とまちづくり」をテーマにしている。

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