社説:かんぽ追加調査 不正の実態徹底解明を

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 かんぽ生命保険と日本郵便による保険不正販売が底なしの様相を呈している。日本郵政グループは、不利益を被った疑いがあると新たに判明した契約が顧客約6万人分、計約22万件に上るとして、これを追加調査すると発表した。

 不正販売は昨年6月に発覚し、顧客約15万6千人分、計約18万3千件の契約を対象に調査が進められた。さらに今回の判明分を加え、調査対象の顧客は延べ21万人を超すことになった。両社を統括する日本郵政の社長に先月就任した増田寛也氏は「グループ全社にとって、最大の危機と受け止めている」と述べ、早急に調査を進める意向を示した。徹底的に調べ上げ、全容を解明しなければならない。

 不正販売で日本郵政グループのブランドは失墜したと言っていい。これまでに明らかになった分を見ただけでも、新旧契約の保険料を故意に6カ月以上にわたって二重払いさせるなど、極めて悪質なケースが目立つ。しかも対象は高齢者が多い。背景には、職員に厳しい販売ノルマが課せられていたことがある。顧客第一の姿勢から懸け離れていたことは明らかである。

 追加調査の対象は大まかに、顧客1人が5年の間に10件以上の保険を契約した「多数契約」、65歳以上の顧客が月額10万円以上の保険料を支払っていた「多額契約」、解約後に被保険者を換えて再加入するなどの「乗り換え契約」の3種類に分かれる。

 一部はかねて顧客から問題を指摘されていたが、調査の対象に含まれなかった経緯がある。金融庁の指摘を受け、追加調査することにした。内容を見れば、いずれも不自然な契約であり、調査すべき対象である。旧経営陣にガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)の意識が欠如していたのは明らかだ。

 監督官庁の金融庁と総務省はかんぽ生命保険と日本郵便に対し、保険の新規販売業務を1月から3カ月間停止するとの行政処分を出している。追加調査することによって実態把握に時間がかかり、販売再開時期が遅れるのは必至だが、やむを得ないことだ。

 肝心なのは、中途半端な調査で終わらせたりせず、しっかりとうみを出し切ることだ。それなくして、新たなスタートは切れないことを肝に銘じるべきである。

 増田氏は、一連の不正販売に関与した職員を厳正に処分する方針も示している。トカゲのしっぽ切りとならないよう、不正を働いた現場の職員だけでなく、上司の管理職も対象とする意向だ。

 上司が成績不振の部下を土下座させるなどのパワハラが、はびこっていたという。職員が納得できる処分が不可欠である。その上で、風通しのよい職場づくりに取り組むことが求められる。