北斗星(2月14日付)

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 雪が積もった斜面をお尻で爽快に滑る。転んで雪まみれになってもまったく気にならない。むしろそれが楽しい。雪合戦やかまくら作りも含め、雪国で生活する子どもたちの特権だ

▼仙北市田沢湖の水沢温泉郷の一角でペンションを営む菅原俊昭さん(69)は、そんな雪遊びが人一倍好きだった。斜面を滑るのに、板を組み立ててそりを自作したほどだ。雪にわくわくする気持ちを大人になってからも持ち続け、地域の恒例行事「田沢湖高原雪まつり」を盛り上げる雪像作りに30年ほど前から毎年欠かさず参加している

▼雪像は雪の塊をなたなどで削った後、細部をのみで丁寧に仕上げる。凱旋(がいせん)門やピサの斜塔などの大作にも挑戦し、腕を磨いた。中国で開かれた国際大会に出場し、見事に入賞を果たしたこともある

▼生まれは角館町。30代で脱サラした。会社組織に縛られず、もっと自由に生きられないものかと模索し、たどり着いたのがペンション経営。地域のためになればと参加した雪像作りは、今やライフワークの一つだ

▼力を入れ過ぎたら、形が崩れる。急な雨で台無しになり、一から作り直さざるを得ないときもある。思い描いた形に完成させるのは容易ではない。根気がなければできないことだ

▼雪まつりは、あすから2日間にわたって開かれる。「何より子どもたちに楽しんでもらいたい」と菅原さん。今年も雪像作りに参加し、多くの人が訪れるのを心待ちにしている。雪国に暮らす喜びが伝わってくる。