北斗星(2月18日付)

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 米アカデミー賞で外国語映画として初の作品賞など4冠を達成した韓国映画「パラサイト」が、秋田市や大曲市で上映中だ。タイトルは「寄生虫」を意味する英語。事業で失敗を重ねた父をはじめ全員失業中の4人家族が主人公だ

▼長男がIT企業の社長一家に家庭教師として雇われたのを機に、残る3人も経歴を偽ったり他人を陥れたりして、社長一家に取り入っていく。コメディーやミステリーの要素を取り入れ高い娯楽性を保ちながら、格差社会を痛烈に描き出した

▼4人が住んでいるのは道路すれすれに窓があり、階段で出入りする半地下の部屋である。元々は北朝鮮の攻撃に備える防空壕(ごう)だったが、次第に安く賃貸されるようになり、低所得層の住居になった

▼2015年には36万世帯が住んでいたといい、今でも少なくない数の人たちが生活している。韓国の格差社会の象徴といえるかもしれない

▼日本でも貧困状態にある母子世帯や、バブル崩壊後の不景気で就職機会に恵まれなかった就職氷河期世代の非正規労働者らは多く、支援策が大きな課題になっている。決して映画の世界をよその国の話と済ますことはできない

▼強い絆で結ばれ、懸命に助け合って生きる4人の姿には救いも感じられる。「彼らは初めから“寄生虫”だったわけではない。私たちの隣人で、友人で、同僚だったにもかかわらず、絶壁の端に押しやられてしまっただけ」。脚本も手掛けたポン・ジュノ監督のメッセージが重く響く。

「パラサイト」、県内での上映時間をチェック!