社説:GDPマイナス 新型肺炎対応が鍵握る

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 内閣府が発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動を除く実質で前期比1・6%減、このペースが1年続くと仮定した年率換算では6・3%減となり、5四半期(1年3カ月)ぶりのマイナス成長に転落した。

 19年10月に8%から10%に引き上げた消費税増税の駆け込み需要の反動に加え、台風19号をはじめとする自然災害の影響、暖冬による冬物商品の販売不振などが重なったとみられる。個人消費2・9%減、住宅投資2・7%減、設備投資3・7%減と内需が軒並み冷え込んだ。政府はこの事実を真剣に受け止めなければならない。マイナスに転落した要因を詳細に分析するとともに、今後の経済運営に細心の注意を払う必要がある。

 消費税を5%から8%に引き上げた前回増税時の14年4~6月期も、年率換算で7・4%減と大きく落ち込んだ。今回の6・3%減は、それ以来の減少幅の大きさだ。消費税は社会保障の安定や借金返済などに充てられており、増税は財政運営上やむを得ない面があるものの、タイミングが適切だったかも含め、検証が欠かせない。

 経済政策アベノミクスの是非があらためて問われる。始まってから7年余りがたつにもかかわらず、実質賃金はいまだ低迷しており、消費は力強さを欠く。株価の上昇につながり、大企業については業績回復が図られたとされるが、地方の中小企業への波及効果は乏しい。このままでいいのか。見直しを真剣に考えるべきだ。

 政府は景気がなお「緩やかな回復基調にある」とみている。安倍晋三首相も国会答弁で「駆け込み需要と反動減は前回ほどでなかった」と述べるなど、強気の姿勢を崩していない。

 だが、経済情勢は厳しさを増している。中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎(COVID=コビッド=19)の感染拡大が止まらないことが大きな要因だ。感染者は日本を含め世界各国で増え続けており、予断を許さない。

 日本にとって、特に心配されるのが観光面への打撃である。訪日中国人客は19年には959万人となり、いまや消費の要となっている。人の往来が制限された状態が長く続けば、経営不振に陥ってしまう業者も出るだろう。

 GDPが世界1位の米国と2位の中国による貿易摩擦は、共に制裁関税を引き下げることでいったん休戦となったが、完全には収まっておらず、経済は先行き不透明だ。新型肺炎はそれに追い打ちをかけた。

 多くの専門家は、日本が20年1~3月期もマイナス成長になるだろうと予測している。このままでは東京五輪・パラリンピックの開催にも影響しかねない。できる限り早期に新型肺炎の感染を終息させ、経済を正常な状態に回復させることが求められる。

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