北斗星(2月19日付)

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 民俗学者の柳田国男は兵庫県の内陸の村に生まれた。東京で長く暮らしながらも「都市人」にはなりきれず、故郷を懐かしみ慕い続けた。著書「都市と農村」(岩波文庫)にそんな50代半ばの心境がつづられている

▼昭和の初め、高速交通網が整っていなかった時代のことである。現代とは比べようもないほど、故郷は遠かった。それでも、東京や大阪といった大都会には同郷の人が必ずいて、頼りになるとも書いている

▼都会で暮らす地方出身者の故郷や同郷の人への思いは、現代社会でも変わることはない。本県出身者のよりどころとして組織された県人会は関東だけで130を超える。会員は約9万6千人。出身地別の会や学校の同窓会のほか、近年は会員制交流サイト(SNS)を通じて故郷を応援しようという集まりもある

▼県人会関係者ら約100人に本紙がアンケートしたところ、94%が故郷と「もっと関わりたい」と回答。「秋田のPRを手伝いたい」「県人会のネットワークを使って」など、さまざまな声があった

▼「古里を捨ててしまった罪滅ぼしだ」。80代男性の言葉にはどきりとさせられた。高校卒業後に上京、就職し、一線を退いた今こそ故郷に貢献したいとの思いで、何ができるか自問していた。そこまで秋田を思ってくれる人もいる

▼本県は観光や産業などの面でアピール力が弱いといわれる。故郷を思う県人とどうつながり、どのように力を発揮してもらうかで秋田の未来が違ってくる。

首都圏県人会関係者へのアンケートを掲載しています