社説:民俗芸能「風流踊」 無形遺産へ連携強めよ

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 鹿角市の「毛馬内の盆踊」や羽後町の「西馬音内の盆踊」など全国各地に伝わる豊作祈願や死者供養の踊り「風流(ふりゅう)踊」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録を目指す国内候補に選ばれた。本県を含む23都府県の計37の踊りをまとめて1件とし、一括提案する。早ければ2022年に登録可否が審査される見通しだ。

 風流踊は、華やかに着飾った人々が笛や太鼓などの演奏、歌に合わせて踊る民俗芸能。災厄を払い、安寧な暮らしを願うという共通の特徴がある。地域づくりに大切な役割を果たしており、国の文化審議会は「災害の多い日本で被災地復興の精神的基盤にもなっている」と評価した。関係団体や自治体が連携を強めて登録を実現し、各地域の活性化を一層進めてほしい。

 いずれの踊りも、少子高齢化に伴う担い手不足という課題を抱えている。無形遺産になれば、これまで行事に深く関わってこなかった住民らの関心が高まることが期待できる。国内候補になった今から、それぞれの風流踊の由来や意義を伝える取り組みを活発化させ、貴重な地域文化の再評価を進めたい。

 風流踊を構成する37の踊りは国の重要無形民俗文化財に指定済みか、近く指定される予定で、本県の二つはいずれも指定済みだ。東北から九州まで広域にまたがり、各地で保存・継承の態勢は異なる。関係団体は昨年2月に全国組織を設立した。それぞれの踊りの保存・継承態勢の確立を急ぐことが必要だ。

 現在日本の無形遺産は計21件で、中国に次ぎ世界で2番目に多い。無形文化遺産保護条約は申請数が50件を超えた場合、登録件数の少ない国の審査を優先すると定めている。そのため日本の登録候補の審査は14年以降、2年に1回となっている。

 風流踊は来月末までに政府が申請書を提出する予定だが、審査は1年先送りになる可能性が高い。登録の時期は最速でも22年となりそうだ。それまでにPRや観光客の受け入れの体制づくりを準備すべきだ。

 本県の重要無形民俗文化財は17あり全国最多だ。そのうち既にユネスコの無形遺産に登録されているのは五つ。毛馬内と西馬音内の盆踊を加え、本県が民俗行事や伝統芸能の宝庫であるとアピールしたい。

 鹿角市は大日堂舞楽、花輪ばやしが既に無形遺産になっており、来年の世界文化遺産登録を目指す大湯環状列石もある。毛馬内の盆踊が無形遺産になれば、四つのユネスコ遺産を持つことになる。他都府県の関係団体や自治体と連携し風流踊を国内外にPRすることはもちろん、他にない特色を生かした独自の情報発信も求められる。

 優雅で幻想的な毛馬内の盆踊と西馬音内の盆踊は毎年、多くの観光客でにぎわっている。無形遺産登録により訪日外国人客を本県に呼び込む大きな力となることが期待される。