社説:かづのパワー 電力の地産地消に期待

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 鹿角市などが出資する地域電力小売会社「かづのパワー」が4月から市内向けに電力供給を開始する。自治体出資の地域電力小売会社は県内初。地域の再生可能エネルギー(再エネ)から生まれた電力を地域内で有効活用することが目的である。

 エネルギーの「地産地消」といえる取り組みで、発電から消費までに動くお金がより多く地域内で循環することになる。事業を軌道に乗せることで、地域経済の活性化につなげたい。

 同社は昨年7月、市のほかに金融機関、地元企業など計20社・個人が出資して設立された。資本金は990万円で、市が49%に当たる485万円を出資した。同市八幡平にある三菱マテリアル永田水力発電所(最大出力721キロワット)から電力を調達し販売する。

 利益は出資者に配分せずに、一部を市に寄付して地元産業の振興策に役立ててもらうほか、できるだけ割安な料金で販売することで利用者増加に努める。設立以降、送配電網の使用手続きといった準備を進めてきた。

 初年度は試験的に市庁舎はじめ市所有の32施設に限って小売りする。料金は基本料金と、使用量によって変動する従量料金に分かれるが、このうち基本料金を現在より1%安く設定した。施設の電気使用状況を参考にしながら、今後の料金体系などについて検討を進めることにしている。

 初年度の契約電力は合計約2100キロワットで、市内全体(約9万キロワット)の2%程度にとどまる。地域経済活性化につなげるためには2年目以降、市内の一般家庭や事業所を含めて販売先を増やしていくことが不可欠である。

 市が2016年度に市内約300社を対象に実施したアンケートでは、地域電力小売会社からの電力購入に前向きな回答が7割に上った。地域の期待感の表れでもある。市は、25年度に契約電力を市全体の17%に近い1万5千キロワット程度まで増やす目標を掲げている。

 目標実現のためには永田発電所だけでは不足することから、他の発電所からの電力調達が必要となる。市内には、鉱山が栄えた歴史や地形を背景に、水力や地熱などの発電所が永田以外にも15施設ある。千葉大の研究者らによる17年の試算では、市内で使われる総電力量に対する再エネ発電量の比率を示す電力自給率は380%に上り、全国の市でトップだった。これだけ豊富な地域資源を生かさない手はない。

 今後は永田以外の発電事業者との協議や交渉などの中で、「地産地消」の有用性、地域経済に与える効果について粘り強く訴えて協力を得ることが重要になる。

 エネルギーの地産地消には多くの自治体が関心を寄せており、さまざまな実践例がある。成功事例の一つとなるように着実に取り組みを進めていくことが求められる。

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